初級翻訳・太陽とかわず 第2話

太陽とかわず

「だって、この私の頭の中にしっかり刻み込まれてしまった広い世界のようすを、どうやって忘れろと言うんですか?」
カエルはすっかり困ってしまいました。
「おい、その話をだれかに話したのか?」
と、カエルはたずねました。
「いいえ、まだだれにも会っていません。
次にだれかに会ったら、みんなに教えてやろうと思っているんです」
と、ブヨは答えました。
カエルは心配になりました。もしこのブヨがみんなにその話をしたら、池の仲間たちはどんなに大騒ぎすることだろう。
そしたら、みんなはこの池を一番いい場所だと思わなくなってしまうのではないか。
カエルはしばらく頭を抱えて悩みこみました。
「そうだ!
このブヨの小さな頭の中には、その『広い世界』ってやつが全部つまっているはずだ。
それをそっくりそのまま俺のものにしてしまうなんて、わけもないことだぞ。
俺がこのブヨをパクッと飲み込んでしまえば、外の世界のことも全部俺のものになるだろう。
それに、だれにもそんな話をしゃべられる心配もなくなって、一石二鳥じゃないか!」
カエルはそうひらめきました。
カエルは突然大きな口をパクリと開けて、小さなブヨを頭から丸呑みにしてしまいました。
しばらくたってから、カエルは「これで広い世界がそっくりそのまま自分の頭の中に入ったはずだぞ」と思い、その世界を思い出そうと頭をひねってみました。
しかし、ブヨが言っていたような広い世界なんて、どこにも見当たりませんでした。
そこでカエルは、「なんだ、ブヨのやつ、やっぱり嘘をついていたんだな」と思い込みました。
そして、やっと一安心したのでした。
空の大王はお日さまで、この池の王さまはやっぱり自分なんだと、カエルは満足そうに思ったのでありました。

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