初級翻訳・若草物語 第37話

オルコット ルイーザ・メイ

そして「希望を持って、せっせと働こう!」という合言葉の通りに、ジョーはマーチおばさんの屋敷へ、メグは家庭教師の仕事をしているキング家へと働きに行きました。エイミーとベスも、ハンナさんを手伝って、家の中の仕事を次から次へと片づけていきました。

 こうして毎日は、わりと元気に明るく、何事もなく過ぎていきました。それに、お父さんのニュースが、娘たちをとても安心させてくれました。お父さんは重い病気でしたが、世界で一番素晴らしい看護師であるお母さんが付き添うようになってから、すぐに回復の兆しが見え始めたのです。

 ブルック先生が毎日、お父さんの様子を知らせる速達を送ってくれました。それをお母さんの代わりの「一家の主」としてメグが読み上げましたが、一週間、二週間と経つにつれて、その内容はますます娘たちを元気づけるものになっていきました。みんなも、思いがいっぱい詰まった分厚い手紙を書いて、ワシントンへと送りました。その手紙の中から、いくつかこっそりご紹介しましょう。

「大好きな、お母様へ。
先日いただいたお手紙が、どれほど私たちを幸せにしてくれたか、言葉では言い表せないほどです。あまりに嬉しいお便りだったので、みんなで読みながら、泣いたり笑ったりしてしまいました。ブルック先生は、なんてご親切な方なのでしょう。ローレンスおじいさんの計らいで、あんなに長くあちらに残って、お父様やお母様のお世話をしてくださるなんて、本当に心強いし、私たちは幸せ者ですね。

ジョーは、私の縫い物のお手伝いをしてくれています。ジョーが突然『良い子にならなきゃ!』と張り切りだすいつもの『道徳の発作』が、長くは続かないことを私が知らなかったら、働きすぎて倒れちゃうんじゃないかって心配になるくらい、一生懸命なんですよ」ベスは時計みたいに正確に、自分のやるべきことをしっかりこなしています。エイミーは、私の言うことをよく聞いてくれます。ボタンの穴をかがったり、靴下の穴を直したり、私に教わりながら一生懸命やっているんですよ。

ローレンスおじいさんは、まるで「年老いたお母さんニワトリ」みたいに(これはジョーが言ったことですが)、私たちのことを甲斐甲斐しくお世話してくださっています。ローリーもとっても親切です。お母様が遠くへ行ってしまって、時々寂しくてひとりぼっちの迷子になったような気分になりますが、そんな時はローリーとジョーが元気づけてくれるんです。

ハンナさんは、まるで聖者様みたい。朝から晩まで、お母様が帰ってくるのを心待ちにしています。お父様にも、どうぞよろしくお伝えくださいね。お母様の大好きなメグより。

香水のいい香りがする便せんに、丁寧に書かれたこの手紙とは打って変わって、次の手紙は大きな便せんになぐり書きされていました。

「私の大切なお母様へ。
大好きなお父様のために、万歳三唱! お父様の具合が良くなったことを電報で知らせてくださるなんて、ブルック先生は本当に頼りになる方ですね。電報を見た瞬間、私は屋根裏部屋へ駆け上がって、私たちを見守ってくださる神様にお礼を言おうとしたのですが……ただ大声で『嬉しい!』と繰り返しながら、泣くことしかできませんでした。

でも、あの涙は長いお祈りと同じくらい、心がこもっていたと思います。私たちは、毎日楽しく過ごしていますよ。みんながすごく親切にしてくれるので、まるで山鳩の巣の中にいるみたいに温かい気持ちです。

メグ姉さんはまるでお母様みたいに振る舞っていて、日に日に美しくなっています。妹たちは、かわいい天使のようですよ。そして私は、相変わらずのジョーです。

そうそう、実はローリーとケンカしちゃったんです。私の方が正しかったのですが、言い方が悪かったみたい。ローリーは『君が謝るまでもう来ないぞ!』と言って帰ってしまい、絶交状態になっちゃいました。私はローリーが謝りに来るのを待っていましたが、全然来ません。

その日の晩、エイミーが川に落ちた時のお母様の教えを思い出しました。聖書を読んだら心が落ち着いて、『怒ったまま眠ってはいけない』という言葉が胸に響いたんです。ちょうど謝りに来てくれたローリーと会うことができて、すっかり心は晴れ、元通りの仲良しに戻りました。

昨日、ハンナさんの洗濯を手伝いながら詩を作ったので、笑い話のタネに読んでみてください。お父様に、私の代わりに心を込めてキスをしてあげてくださいね。おてんばなジョーより」

「シャボン水のうた」
私のたらいの女王様、私は楽しく歌います。
白い泡がぶくぶく高く立つ間に、
せっせと洗って、絞って、干しましょう。
きれいな空の下で、吹き抜ける風に、
洗濯物はひらひらと揺れています。

私たちの心と魂についてしまった、
一週間の汚れをきれいに洗いたい。
水と空気の不思議な力で、
真っ白に、清らかにしたい。
そうすれば、この世界はとっても素敵な、
「お洗濯の日」になるでしょう。

心優しい人たちが歩く道には、
いつもパンジーの花が咲くでしょう。
忙しく働いている心には、悲しみも不安も悩みも、
入り込む隙間なんてありません。
ほうきをせっせと動かす時は、
悩み事だって一緒に掃き出してしまう。

毎日毎日、一生懸命働く仕事が、
私に与えられているのは嬉しいこと。
仕事は強い体と、力と希望を運んできてくれる。
頭でいろいろと考え、心でいろいろと感じながら、
手はいつも、しっかり動かしていよう。

「大好きなお母様へ。
私のいっぱいの愛情と、それから、お父様が帰ってきた時に見せようと大切にしていた、三色すみれの押し花を贈ります。

私は毎朝、あの本(聖書)を読んで良い子になろうと頑張っています。寝る前には、お父様の好きな歌を歌っているんですよ。でも、『まことの国』だけは歌えません。歌うと涙が出てきちゃうからです。

周りの皆さんが大切にしてくださるので、お母様がいなくても、私たちは幸せに暮らしています。エイミーがこの紙の余白に書くそうなので、私はここまでにしますね。毎日、時計のネジを巻くことと、お部屋の空気を入れ替えることは、一度も忘れていません。大好きなお父様によろしくお伝えください。小さなベスより」

「私のお母様へ。
みんな元気ですよ。私は毎日お勉強を頑張っています。お姉ちゃんたちの言うこともちゃんと聞いています。メグお姉ちゃんは、とっても優しくしてくれます。夕ご飯の時にゼリーを食べさせてくれるんですよ。ジョーお姉ちゃんは、『エイミーが大人しいのは、ゼリーを食べてる時だけだね』なんて言います。

私はもうすぐ13歳になるのに、ローリーは私のことを子供扱いして、『ひよこちゃん』なんて呼びます。私がフランス語で『メルシー(ありがとう)』とか『ボンジュール(こんにちは)』って言うと、ローリーはわざとペラペラと難しいフランス語を喋って、私を困らせるんです。

空色のドレスの袖が破れてしまったので、メグお姉ちゃんが新しい袖に付け替えてくれました。でも、その布の色が青すぎて、前の袖と全然合わなくなっちゃったんです。嫌だったけれど、わがままを言わないで、悲しいのを我慢しています。

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