初級翻訳・醜い家鴨の子 第5話

アンデルセン ハンス・クリスチャン

彼には一体どうしていいのか分らなかったのです。
ただ、こう幸福な気持ちでいっぱいで、けれども、高慢な心などはちっぽけたりとも起こしませんでした。
見っともないという理由で馬鹿にされた彼、それが今はどの鳥よりも美しいと云われているのではありませんか。
ニワトコ(接骨木)の木までが、その枝をこの新しい白鳥の方に垂らし、頭の上ではお日様が輝かしく照りわたっています。
新しい白鳥は羽をさらさら鳴らし、細っそりした頸を曲げて、心の底から、
「ああ僕はあの見っともない家鴨だった時、実際こんな幸せなんか夢にも思わなかったなあ。」
と、叫ぶのでした。

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