そのかたわらにある小さな家からは、明かりがちらちらと漏れていました。
年子は、このすぐあとに待っている先生との楽しい再会を想像して、胸をドキドキさせながら中へ入っていきました。
先生のお母さんらしい人が、夕飯の支度をしていたのか、出てこられました。
そして、年子が先生を訪ねて東京から来たのだと伝えると、お母さんの言葉の調子は急に曇りを帯びたようでしたが、
「それは、それは、よくいらしてくださいました。さあ、お上がりなさい」と、まるで我が子が遠方から帰ってきたかのように、親切に迎えてくれました。
年子が先生の姿が見えないことを不思議に思い、もどかしく思っていると、お母さんは落ち着いた様子で、静かに語り始めました。先生はもうこの世の人ではないこと、亡くなってからすでに半年以上が過ぎていること、そして、その節は知らせることができず申し訳なかったということを……。
それを聞くと、年子は前後の見境もなく、その場に泣き崩れてしまいました。
やがて、北国の夜はしんと静まり返りました。
静かだった空気が、たちまち嵐に変わり、吹雪が雨戸を激しく叩く音が聞こえてきました。
このとき、家の中では、こたつに入りながら、年子は先生のお母さんと弟の勇ちゃんと三人で、いろいろな話にふけっていました。
「スキーはできる?」と、勇ちゃんがききました。
「少しだけなら」と、年子は答えました。
「じゃあ、明日、お姉さんのお墓へいっしょに行こう」と、勇ちゃんが言いました。
翌日は、とてもいいお天気でした。
ふたりは町を離れ、林の下にある寺の墓地へ向かいました。
墓地は雪に埋まっていましたが、勇ちゃんは木を目印に覚えていたので、この下に姉さんが眠っていると教えてくれました。
「先生、私はお約束を守って会いに来ました。それなのに、先生はもういらっしゃらないのですね。私はひとりぼっちで、さびしく帰らなければなりません」
年子は目を泣きはらして、そう言って手を合わせました。
勇ちゃんはハーモニカを唇にあてて、姉さんが好きだった曲を、北風に向かって静かに鳴らしていたのでした。
初級翻訳・青い星の国へ 第2話
小川 未明
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