初級翻訳・風ばか 第2話

豊島 与志雄

どう言ったらいいかなあ、空気の息、神様の息、いろんなものの息……ただ息だよ」
「ただ、息だけ?」
「息だけだよ」
「ばかな奴だな」
 お父さんは声たかく笑いました。
マサちゃんもお母さんもいっしょに笑いました。
ガラス戸の外には、椎の葉がときどき散っています。
小鳥が鳴いています。
夕方の赤い日が空にさしています。
そして風は、息をついてはさーッさーッと吹いています……。
「ばかな風だな」
 マサちゃんははればれと笑いました。

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