初級翻訳・シャボン玉 第3話

シャボン玉

そのシャボン玉には、太陽の光がキラキラと美しく反射していました。
いよいよ最後の芸にとりかかり、まずは立派な「竜」の姿を吹き上げ、次に優雅な「フェニックス(鳳凰)」の姿を吹き上げました。
竜と鳳凰が空中でからまり合いながら空高く飛んでいくのを、集まった人たちは息をのんで見つめました。
「いよいよこれが本当に最後、大トリでございます! 世界一のシャボン玉吹きハボンス、我が子どもの姿!」
 そう叫ぶとハボンスは、残りの汁をすべて竹の管に吸い込み、ふーーーっと大きく一つのシャボン玉を吹き出しました。そして「わしの子どもになれ、子どもになーれ!」と心の中でとなえると、なんとシャボン玉が本物の子どもの姿になって、にこにこ笑いながら空へのぼっていきました。
人々はその子どもの顔に見覚えがあったので、「いつものあの可愛い子どものシャボン玉だな」と思って見ていました。すると、その子どものあとを追うように、大きなシャボン玉がふわりふわりと空へのぼっていきました。
「おや?」と思ってよくよく気をつけて見てみると、いつの間にかハボンス自身の姿がどこにも見当たらなくなっているではありませんか。
「いったいどうしたんだ、不思議だな……」と人たちがすっかり呆気にとられているうちに、子どもの姿も、大きなシャボン玉も、空高く遠くへと消えていってしまいました。
そして、ハボンスの姿はどこを探しても見つかりませんでした。
あとには、ムクロジの種と銀の鉢だけが、ぽつんと残されているきりでした。誰にも、王様にも、いったいどうしてそんなことになったのか、さっぱりわけが分かりませんでした。
そして、忽然と姿を消してしまったハボンスの思い出の品として、真っ黒なムクロジの種と銀の鉢は、王様の御殿にいつまでも大切に残されたのでした。

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