あれを今すぐここに持ち出せ! すぐに出せば命だけは助けてやる。
だが、出さなかったら、いまここで八つ裂きにしてやるぞ!」
「は、はい! すぐに出します、出します!」と、盗賊どもはブルブル震えながら答えました。
やがて盗賊どもは、奥からひょっとこ人形を持ってきたのですが、首はスポッと抜け、手足もボキッともぎ取られていて、見るも無残なバラバラの姿になっていました。
それもそのはずです。
盗賊どもはこの人形を使ってお金を儲けようと企んだものの、中にサルが入っていないのですから、人形が自分の意思で踊れるわけがありません。
おまけに動かないので腹を立てた盗賊どもが、人形の首を引き抜き、手足をもぎ取って、本堂の隅っこにポイと投げ捨てておいたのです。
その悲惨な姿を見て、サルは鬼の人形の中からさらに怒鳴りつけました。
「なんてひどいことをする不都合な奴らだ!
だが、おとなしく人形を出したから、命だけは助けてやっておこう。
二度とこの姿を見せるな、どこへでも行ってしまえ!
そして、これからまた泥棒なんてしたら、絶対に許さないからな!」
盗賊どもは恐怖でガタガタ震えあがり、命からがら逃げ出してしまいました。
サルは鬼の人形の中から出てくると、甚兵衛といっしょになって、壊れてしまったひょっとこ人形をしっかりと抱きしめ、あまりの悲しさに涙を流しました。
けれども、いくら悲しんで泣いてみたところで、壊れてしまったものはもう元には戻りません。
ふたりは傷ついた人形を大事に抱え、静かに田舎の町へと帰っていきました。
甚兵衛はもう興行で十分すぎるほどお金を稼いでいましたし、このボロボロに壊れた人形を見ると、もう二度とふたたび人形を操って見せ物にする気にはなれませんでした。
サルも、さんざん都の華やかな見物を楽しみましたし、そろそろ自分の故郷である元の山へ帰りたくなっている頃でした。
そこでふたりは、壊れた人形をきれいに立派なお召し物に直し、山の神社へと大切に奉納しました。
こうして、サルは自分たちの暮らす深い山の中へと帰っていきました。
甚兵衛はそれからというもの、誰がいくら頼み込んでも、二度と再び人形を使うことはありませんでした。
そして、ときどき山からこっそり遊びにやってくるサルを良き友達として相手にしながら、いつまでも楽しく幸せな一生を送ったということです。
初級翻訳・人形使い 第4話
人形使い
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