2026-08

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宮沢 賢治

初級翻訳・黄いろのトマト 第1話

博物局十六等官キュステ誌 僕の町の博物館には、大きなガラスの戸棚があります。その中には、剥製になった四羽のハチドリがいます。 生きているときは「ミィミィ」と鳴き、蝶々のように花の蜜を吸う、あの小さくて可愛らしいハチドリです。 僕はその四羽の...
宮沢 賢治

初級翻訳・鹿踊りのはじまり 第3話

鹿たちはびっくりして、一斉に竿のように立ち上がると、まるで強い風に吹き飛ばされる木の葉のように、体を斜めにして逃げ出しました。銀色のススキの波をかき分け、輝く夕陽の光の筋を乱しながら、はるか遠くへと駆け去っていきました。彼らが通り過ぎたあと...
宮沢 賢治

初級翻訳・鹿踊りのはじまり 第2話

みんなもびっくりして一斉に逃げ出そうとしましたが、その一匹がぴたりと止まったので、やっと安心して五つの頭をその一つの頭に集めました。「どうだった、なんで逃げてきたんだ」「噛みついてくるかと思ったんだよ」「一体何なんだ」「分からないな。とにか...
宮沢 賢治

初級翻訳・鹿踊りのはじまり 第1話

そのとき、西の空のぎらぎらと縮れた雲のあいだから、夕日が赤く斜めに苔の野原を照らしました。すすきはみんな、白い火のようにゆらゆらと揺れて輝いています。わたしが疲れ果ててそこに眠ると、ざあざあと吹いていた風が、だんだんと人の言葉のように聞こえ...
林 芙美子

初級翻訳・鶴の笛 第2話

「誰も威張らずに、みんなで分け合って食べ合う気持ちがあるのなら、帰っていらっしゃい」足の悪い鶴が言いました。帰ってきた鶴たちは喜び、涙を流しました。それからは、みんなで働きに出かけ、みんな仲良く分け合って食べました。――賑やかで美しい鶴の国...
林 芙美子

初級翻訳・鶴の笛 第1話

昔のこと、ひどい飢饉(ききん)がつづいた年がありました。その村には、たくさんの鶴が住んでいました。鶴たちは毎日、一生懸命食べ物を探して歩き回りましたが、どこにも食べるものは見当たりません。気の早い鶴たちは、みんな旅の支度をして、遠くの空へと...
牧野 信一

初級翻訳・鵞鳥の家 第3話

思い切り大きな声を振り絞って、鳴子(鳥を追い払う音)の代わりになってみたら気も晴れるだろうと思いながら、空を仰いで深く息を吸い込みました。「天晴(あっぱ)れだぞ!」閣下が髭を撫でて私と一緒に空を仰いだ時、ふと、「おお、これは素晴らしいぞ――...
牧野 信一

初級翻訳・鵞鳥の家 第2話

裏門から来る郵便配達の時間は決まっているので、いつも池のふちでいろいろな手紙を読みました。音楽会の噂だとか、映画の批評だとか、スキー場の便りだとか。本当なら羨ましくなるところなのに、どういうわけかこの頃は、そんな華やかな話に触れても心が動か...
牧野 信一

初級翻訳・鵞鳥の家 第1話

(満里子の手帳から――)一 冬休みになったら、今年も兄さんたちと一緒に赤倉へスキーに行くんだと、あんなに楽しみにしていたのに。いざその時が来たら、お母さんがどうしても私だけ許してくれないのです。「あんたはもう学生じゃないんだから、そんな遊び...
豊島 与志雄

初級翻訳・鳶と柿と鶏 第4話

」「そんなことを言ったら、外国人同士では会話なんてできなくなりますよ。」吉村は笑い飛ばそうとした。「ええ、本当の意味で心を通わせるのは難しいと思います。翻訳にしましてもね……。」そして彼女は翻訳の話を始めたので、吉村は内心ほっとした。絶対に...
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