ミンチン先生が妹のアメリアに、セーラを呼んでくるよう命じた時、アメリア嬢はこう言いました。
「お姉様、あの子はずいぶん変わった子ね。
この前クルー大尉がインドへ旅立った時もそうでしたけれど、今回も私が事の次第を伝えると、あの子はただ黙って、じっと私の顔を見つめているだけなんですの。
あの子の瞳は見る見るうちに大きくなって、顔色は真っ青になっていきました。
そうしてしばらくの間、立ち尽くしていましたが、あごがわなわなと震えだしたかと思うと、突然くるりと背を向けて、部屋を飛び出していってしまいました。
他のお嬢さんたちの方がかえって泣き出してしまったくらいなのに、セーラは子どもたちの泣き声になど耳も貸さない様子でした。
あの子はまるで、生きている以上、こんなことが起きるのは当たり前だ、と言わんばかりの顔をしていました。
あの子が何も言ってくれないので、私は変な気持ちになって困ってしまいました。
誰だって、突然あんなことを言われれば、何か一言くらい言わずにはいられないはずですものね」
セーラが二階の部屋で何をしていたのか、セーラ本人以外には誰にも分かりませんでした。
セーラ自身も、その時はほとんど夢の中のような状態でした。
ただ彼女が、しきりに部屋の中を歩き回りながら「お父様は亡くなったのよ。お父様は亡くなったのよ」と自分に言い聞かせていたことだけは覚えています。
その声さえも自分自身のものとは思えないほどでしたが、一度だけ、椅子の上からじっと自分を見守っているエミリーの前に立ち、どこか正気を失ったような様子で言いました。
「エミリーちゃん、分かってくれる? パパが亡くなったのよ、分かって? パパはね、遠い遠いインドで、亡くなってしまったのよ」
セーラが呼ばれてミンチン先生の部屋へ入った時、彼女の顔は蒼白く、目の周りには黒い隈ができていました。
セーラは、これまで味わった苦しみや、今も消えない悲しみを誰かに見破られるのが嫌で、必死に口を閉じてこらえていました。
さっきまでの薔薇色のドレスを纏ったお姫様とは、まるで別人のようでした。
セーラはマリエットの助けも借りず、古いビロードの服を着てやってきました。
その服はもう小さくなっていて、短い裾の下から出たセーラの細い足は、よけいに細く長く見えました。
黒いリボンが見当たらなかったため、短い黒髪が蒼ざめた頬に乱れ落ち、その顔色をさらに白く見せていました。
セーラはエミリーをぎゅっと抱きしめていました。エミリーもどこか黒いものを身に着けていました。
ミンチン先生はすぐにそれを見とがめて言いました。
「人形なんか、下に置きなさい。何のために人形なんか持ってきたのです?」
「下に置くのは嫌です。このお人形だけは私のものです。お父様が私にくださったのですから」
ミンチン先生はセーラに何か言われると、いつも妙にいらいらさせられていましたが、今もこうしてきっぱりと言い返されると、何か手に負えないような気がして、落ち着いていられませんでした。
特に今日は、ひどく人間らしくないことをしようとしているだけに、余計に気がとがめるのかもしれません。
「もうこれからは、人形遊びなんてしている場合じゃないのよ。あなたは働かなければ――自分の悪いところを直して、役に立つような人間にならなければならないんだから」
セーラは、大きな瞳でミンチン先生を見つめたまま、一言も口をきかずに立っていました。
「もうアメリアから聞いて知っているでしょうけれど、何もかもが今まで通りだと思ったら大間違いだよ」
「よく分かっています」
「あなたは乞食なのよ。身寄りはないし、あなたのお世話をしてくれる人なんて、一人もいないのだからね」
セーラは少し痩せた小さな顔をしかめました。それでもやはり、何も言いませんでした。
「何をそんなにじろじろ見ているの? 乞食になったっていうことが理解できないほど、馬鹿でもあるまいしね。もう一度言って聞かせてあげようか。あなたはみなし子で、私がお慈悲で置いてやらない限り、誰もかまってくれる人なんていないのだよ」
「分かっています」
セーラは低い声で言いました。セーラは、喉の奥に何かが詰まっているのを、無理やり飲み込もうとしているようでした。
ミンチン先生は、すぐそばに放り出されていたお誕生祝いのお人形を指さして言いました。
「その人形も――その馬鹿げた人形のお金を払ったのも、私なんだよ」
セーラは椅子の方に顔を向け、「最後の人形……最後の人形だわ」と、思わず口の中でつぶやきました。
「最後の人形だと? まったくだね。この人形は私のものだ。お前が持っているものは、何もかも私のものなんだよ」
「それなら、どうかそのお人形を持って行ってください。私、そんなものいりませんわ」
もしセーラが泣きわめいたり怯えたりしていたら、ミンチン先生ももう少しは優しくしてあげたかもしれません。先生は、人を支配して自分の力を試すのが何よりも愉快だったからです。
しかし、セーラの凛とした表情と、気高さを失わない声を聞くと、先生は自分の力が空しく消えていくような気がして、悔しくてたまらなくなりました。
「偉そうな態度をとるんじゃないよ。もうお前は、お姫様じゃないんだからね。お前は、もうベッキーと同じことさ。自分で働いて、自分の食べる分を稼がなきゃいけないんだよ」
意外なことに、セーラの瞳に、ふと輝きが――救いのような光が浮かびました。
「働かせてくださるの? 働けるのでしたら、何も悲しむことはありませんわ。何をすればよろしいのですか?」
「言いつけられたことは何でもするんだよ。お前はよく気がつく子だから、役に立つように心がけるのなら、ここに置いてあげてもいいと思っている。フランス語もよくできるんだから、小さい子たちのおさらいも手伝わせてやるよ」
「おさらいをさせてくださるの? フランス語なら教えられますわ。小さい子たちは私を慕ってくれていますし、私もあの子たちが大好きですから」
「人が好いてくれるなんて、馬鹿なことを言うんじゃないよ。小さい子たちのおさらいをするほか、お使いに行ったり、台所の手伝いをしたりしなければならないんだ。私の気に入らないことがあったら、すぐに追い出してしまうから、そのつもりでいなさい。さあ、向こうへ行きなさい」
そう言われても、セーラはしばらくの間、じっとミンチン先生を見つめていました。
幼い心の中で、セーラはいろいろなことを考えていたのです。
やっと立ち去ろうとしたとき、先生が言いました。
「待ちなさい! 私に『ありがとうございます』と言う気はないのかい?」
「何のために?」
「私の親切に対してだよ。お前に住む場所を恵んでやるという、私の親切に対してさ」
セーラは小さな胸を波立たせながら、二、三歩先生の方へ歩み寄りました。
「先生、それは親切ではありませんわ。それに、ここは家庭でもなんでもありません」
そう言い捨てて、セーラは駆け出しました。
ミンチン先生はそれを止める術もなく、怒りのあまり石のように立ち尽くし、セーラを見送るしかありませんでした。
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