初級翻訳・小公女 第35話

小公女

木の箱には敷物が掛けられ、その上にはいくつかの座布団が重ねられて、寝椅子のような形になっていました。

「まるで、お伽話の世界に迷い込んだみたいだわ。何でも『欲しい』と言えば、すぐに目の前に現れるような気がする。ダイヤモンドや、黄金の詰まった袋さえもね。お伽話よりもずっと不思議で、夢みたいだわ。これが本当に、昨日まで私がいたあの屋根裏部屋なのかしら? 自分でも、あの凍えるように寒くて、汚れた服を着ていたセーラだなんて信じられない。ずっと昔から、お伽話が本当になる瞬間を見届けたいと思っていたけれど、まさか今、自分がそのお伽話の中に住んでいるなんて」

セーラは自分自身も魔法使いになったような気分でした。そして、この部屋にあるものすべてを、自分の思い通りに変えていけるような不思議な力さえ感じたのです。

セーラは壁を叩いて、隣の「囚人」であるベッキーを呼び出しました。今夜、ベッキーは自分の紅茶茶碗でお茶をいただくことができました。セーラが寝床に入ると、また新しい厚い敷布団と、大きな羽根枕が用意されているのを見つけました。昨夜使っていたものは、いつの間にかベッキーの寝床に移されていたのです。

「一体全体、どこからこんなものが来るんでしょう? お嬢さま、本当に誰がこんなことをしてくださるのかしら?」
「聞くのはやめましょう。知らないままでいる方が、ずっと素敵だと思うわ。でも、その誰かに『ありがとう!』とだけは伝えたいわね」

その時以来、二人の世界はどんどん明るく、愉快になっていきました。お伽話は毎日続きました。たいてい毎日、何かしら新しいことが起こりました。夜、セーラが部屋の扉を開けるたびに、室内には新しい飾りが増え、少しずつ居心地がよくなっていくのです。そうこうするうちに、屋根裏部屋は珍しくて贅沢なものがいっぱいの、美しい部屋へと変わってしまいました。朝、部屋を出る時には昨夜の食べ残しが置いてあるのに、夜に帰ってくるとそれらは綺麗に片付けられ、また別の美味しい料理が並べられているのでした。

セーラはこうした幸福と温かな慰めのおかげで、だんだんと健康を取り戻し、希望に満ち溢れてきました。相変わらず学校では皆からひどい扱いを受けていましたが、どんなに辛い時でも「屋根裏に帰ればいいんだ」と思うと、苦にはなりませんでした。

「セーラ・クルーは、ずいぶんと丈夫そうになったじゃないか」
ミンチン先生は不服そうに、妹のアメリアに言いました。
「本当に、だんだん太ってきましたね。あんなに餓えたカラスみたいに痩せていたのに」
「餓えていた? 食べたいだけ食べさせているんだから、餓えるはずなんてないじゃないか」

アメリアは余計なことを口走ったと気づき、おどおどしながら「そ、そうですね」と相槌を打ちました。
「あの子の年齢で、あんな様子をしているのが不愉快なんだよ」
「あんな様子、とはどういうことでしょう?」
「いわば、反抗心というものさ。たいていの子供は、あんな境遇の変化に遭ったら意地も元気も失くしてしまうものなのに、あの子はまるで、まだお姫様か何かであるかのように、しゃんとしているんだから」
「姉様、覚えていらっしゃいますか? あの日、セーラが教室でこう言った時のことを。『先生はどうなさるでしょう、もし私が……』」
「そんなこと、覚えていないよ。つまらないことを言うものじゃない」

不思議なことですが、ベッキーも最近はふっくらと健康的に太り、どこか落ち着いた様子を見せるようになりました。太るまいとしても太ってしまうし、怯えようとしても怯えられなくなったのだから仕方ありません。彼女もまた、誰も知らないあの「お伽話」の恩恵を受けていたからです。今ではベッキーの寝床にも敷布団が二枚あり、枕も二つあります。毎晩温かなご飯を食べ、火の燃える炉のそばに座ることができるのです。

いつの間にか「バスティユの牢獄」は消え去り、囚人の影もどこかへ行ってしまいました。その代わりに、二人の幸せな子供が喜びの中に浸っているだけでした。時折、セーラは本を手に取って声に出して読んだり、時折、じっと炉の火を見つめて「あのお友達は誰だろう? 自分のこの感謝の気持ちを、どうにかしてその人に伝える術はないものだろうか」と思いに耽ったりしました。

すると、また素敵な事件が起こりました。ある日、一人の男が玄関にやってきて、いくつかの小包を置いて行ったのです。その宛名には、『右手屋根裏部屋の少女へ』とだけ大きく書かれていました。

小包を取りに使いに出されたのは、ほかならぬセーラでした。彼女が一番大きな包みを二つ、客間のテーブルの上に置いて、宛名をじっと眺めていると、そこへミンチン先生が入ってきました。
「宛名の持ち主のところへ、さっさと持っていきなさい。そんな所に立ってじろじろ見るんじゃないよ」
「でも、これは私宛なんです」セーラは静かに言いました。
「お前のだって? 何を言っているんだ」
「どこから届いたのかは存じませんが、宛名は私です。私が眠っているのは、右手の屋根裏部屋ですから」「ベッキーは左側ですから」
 ミンチン先生はセーラのそばへやって来ると、興奮した顔つきで小包をじっと眺めました。
「何が入っているんだい?」
「存じません」
「開けてごらん」

 セーラはいわれた通りにしました。
 中から出てきたのは、着心地のよさそうな美しい衣裳でした。靴、靴下、手袋、美しい上着、それから見事な帽子、雨傘――すべて、上等で高価な品ばかりでした。その上、上着のポケットには、こんなことを書いた紙切れが、ピンで留めてありました。
「いつも着ていなさい。換える必要があったら、いつでも換えてあげます」

 それを見ると、ミンチン先生は卑しい心の中で、何か不思議なことがあるなと察しました。あるいは自分は思い違いをしていたのかもしれない。この孤児の背後には、誰か変わり者だけれど、力のある友人がついているのかもしれない。あるいは誰か今まで知られていなかった親戚がいて、ふとセーラの居所を突き止めた上、こんな妙な方法で彼女の世話をし始めたのかもしれない。

 親戚にはよく変人がいるものです。殊に年をとった、金持ちで独身の伯父などというものは、子供をそばに置くことを嫌がって、遠くの方からその子の様子を見守っていたりするものです。またそんな伯父は決まって癇癪持ちで、怒りっぽいものです。だから、もしそんな人がいて、セーラのひどい様子を見たら、いい気持ちがするはずはありません。

 ミンチン先生は、妙に不安な気持ちになりました。そこで彼女はセーラを横目でちらと見て、セーラの父が亡くなって以来使ったことのない、やさしい声でいいました。
「きっとどなたかご親切な方があるのですよ。こんなものをいただいたのだから、それに傷んだら新しいのと換えて下さるというのだから、それに着替えて、きちんとしているようになさい。着替えたら教室に来て、自分の勉強をしなさい。今日はもうどこへも使いに行かなくていいから」

 着替えを済ませてセーラが教室に入っていくと、生徒たちは驚きのあまり声も出ませんでした。
「まあ驚いた」ジェシーはラヴィニアの肘をつつきながら、頓狂な声でいいました。

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