初級翻訳・カヘルサント、コホロギサン 第1話

カヘルサント、コホロギサン

あるところに、学者で、目が悪くて、ちょっとおっちょこちょいなカエルさんがいました。
毎日、高い木の枝に腰かけて、四方を見回しては、何かを探している様子です。
それを、草の葉っぱのかげで、せっせと縫い物をしていたコオロギさんが見つけました。
「カエルさん、毎日暑いですね。そんなに高い所にいないで、この涼しい草の葉っぱのかげにいらっしゃい」とコオロギさんが言いました。
「コオロギさん、ありがとう。けれど、私はここにいなければなりません。なぜと言えば、もう秋でしょう。もう、着物を作らなければなりません。けれど、私は自分で縫うことができないのです。それで、毎日、だれか縫ってくれそうな人が通らないかと見ているのですよ」
これを聞いてコオロギさんは大笑いしました。
「まあ、あなたは、なんて目が悪いんでしょう。私は仕立て屋で、毎日、ここで着物を縫っていたのに」
カエルさんは生まれつき色が青かったのですが、この時ばかりは赤くなりました。
そして、
「まあ、それはよかった。なんてうれしいことだろう」
と言って、おっちょこちょいなカエルさんは高い木の枝から、ポンと地面へ飛び降りました。
ところが、大変なことになりました。肝心の反物を木の枝の穴の中に置いてきてしまったのです。
カエルさんはあわてて木に登ろうとしましたが、ツルツルすべってどうしても登ることができません。
するとそれを見て、親切なコオロギさんが言いました。
「カエルさん、私の足に綱をつけて上へ引っ張り上げてください。すぐ取ってきてあげますから」
そこで、カエルさんはコオロギさんの足に綱をつけて、木に登ってもらいました。
コオロギさんは、こうして反物を取ってきて、さっそく立派に縫ってあげました。
カエルさんはどんなにうれしかったことでしょう。
それを着て、記念のためにコオロギさんと一緒に写真を撮りました。
その写真を私は持っています。見たい人は、私の家へ遊びにおいでなさい。

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