初級翻訳・どじょうと金魚 第1話

どじょうと金魚

ある日、ひとりの子どもがガラスのびんを手に持って、金魚がほしいと泣いていました。
すると、通りかかったどじょう売りのおじいさんが、そのびんの中にどじょうを二匹入れてくれました。
子どもは大喜びで、びんに顔を押しつけるようにして中をのぞきこみました。すると、ひげを生やしたユーモラスな顔のどじょうが言いました。
「ぼっちゃん、あんなに見た目がきれいだけで役立たずの金魚なんかより、ぼくのほうがずっといいんですよ。
ひとつ踊ってみせましょうか?」
そう言うと、一匹のどじょうがびんの底から水の上までくるりと見事に回転し、おもしろい顔を水面に出してから、またびんの底へと沈んでいきました。
子どもは、今までどじょうのことをバカにしていたのは、完全に自分の考えが足りなかったんだなと思い知りました。
「金魚よりも愛嬌(あいきょう)があるし、踊りもするし、ずっとおもしろいや!」
子どもは大喜びでそのびんを持ち歩き、友だちみんなに自慢してまわったのです。
けれど、金魚を飼っている友だちはクスッと笑って、
「そんなどじょうなんて大したことないさ。この金魚なんてすごく高いんだぜ」と言って、まったく相手にしてくれませんでした。
すると、どじょうが言いました。
「ぼっちゃん、悲しむことはありませんよ。まあ、見ていてごらんなさい」
それから、じめじめとした、いやな天気がつづきました。
環境への適応力が弱い金魚たちは、みんなすっかり弱って死んでしまいましたが、どじょうはとっても元気でした。
そして、いつだって愛嬌のある顔をしながら、かわるがわるびんの中で踊りつづけたのでした。

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