初級翻訳・土から手が 第9話

土から手が

引き受けはしたものの、サンフランシスコでは人目が多すぎると考え、一時的に聖マテオのハイランド通りにある家を借り、フランシス・メイスンを雇って準備を整えました。
約束の日、アイネがやってきました。ところが、手術に失敗してしまい、アイネは大きな悲鳴を上げました。近所に聞かれると大変だと考えたノウスカットは、「病院へ連れて行ってやる」と嘘をついて深夜に車へ乗せ、あてもなく走り回りました。
アイネはもう、耐えられる状態ではありませんでした。あまりの苦しみように、途中「ホテル・聖マテオ」に立ち寄って休ませましたが、そこで再び診てみると、もはや手の施しようがないと悟りました。翌朝、まだ暗いうちにホテルを出ると、身元がわかる手がかりになりそうな所持品をすべて奪い、下着のマークまで丁寧に切り取ったうえで、半月湾国道から谷底へ突き落としたというのです。

とんでもない医者があったものです。その後、彼は現場へ戻って大急ぎで後始末をし、血だらけの寝具やベッドを片付け、焼けるものはすべて焼いて証拠を隠滅すると、何食わぬ顔で家を引き払いました。サンフランシスコとサン・マテオを行き来しながら、逃げ回っていたのです。

今、彼は葉巻を噛みながら、マテスン主任の前に座っています。かと思えば、突然椅子から立ち上がり、室内をうろつき始めます。少し神経質になっているようにも見えますが、全体としてはまるで保険の勧誘員が熱心に加入を勧めているかのような、平気どころか、自信満々の態度です。
マテスン主任とのやりとりが続きます。
「聖マテオの家はどうしたのですか。何のためにあんな場所へ家を借りたのです」
「あの家を借りたのは確かに私です。ご存じの通り、サンフランシスコでは警察がうるさいですからねぇ――(英語で「警察がサンフランシスコではうるさすぎてね」)――しかし、例のアイネ殺しについては、否定もしません。肯定もしません。どうぞ沈黙を守らせてください。最後まで沈黙を貫くつもりです」
「告白書はこちらで用意できています。簡単に署名したほうがあなたのためですよ、ノウスカットさん」
「そんなことをしたら、弁護士に叱られてしまいます。私は法の権利の上に立っているのです。言うべきことがあれば、弁護士が言います」
「何か他に陳述することは――?」
「何とでもご自由に書いておいてください。いずれ裁判で弁護士から意見が出るでしょう」

フランシス・メイスンと対面させると、ノウスカットの罪はさらに動かしようのないものとなりました。明白な第二級殺人として、サン・クエンティン刑務所での懲役十五年が言い渡されました。刑が確定したとき、彼はスワアト検事に向けて恨みのない微笑を浮かべ、こう言いました。
「よくわかっています。あなたはただ、正当な自分の務めを果たしたに過ぎない。私はあなたに対して少しも怒ってなんかいない。誤解しないでくれ。私たちは永遠に、好印象の友人でいられるはずだ」
サン・クエンティンで服役中、彼は獄中で亡くなりました。
結局、アイネと情を通わせていた男が誰だったのか、それは誰にもわからないまま終わりました。

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