初級翻訳・姫たちばな 第9話

姫たちばな

子供というものは、死ぬまで親が面倒を見てやらなければならないのだと、今ようやく思い知りました。
」
基経は、三人並べて墓石を建てる件について二人の父親に相談しました。
和泉の国の人々は翌日、和泉の国の清らかな土を船で運び、その船は生田川の岸辺に早朝早く到着しました。
それは、黄金色に輝くような新しい山の奥深くから掘り出された、誰も踏み荒らしていない真っ新な土でした。
和泉の国の父親はその土を墓の土として整え、不幸な息子の墓をそこに据えました。
「お前も橘殿のそばに眠ることができたというものだ。基経殿、どうかお許しくださるように。
」
「懇ろに弔ってくださった。
」
基経はその土に向かって拝礼しました。
津の国の父親も、もう何も言いませんでした。
それほどまでに深い父親としての愛情は、同じく子の親である彼らの心に大きな感動を与えたようで、何度も何度も、低く恥じ入るような声で呟きました。
「よくぞやってくれた。三人の若者たちは、もはや兄妹のように思えてならない。
」
篠竹の垣根で囲まれた墓地は、生田川の流れを一望できる、少し高台になった松林のはずれに作られました。
川面はかつての日のように銀の粉をまぶしたかのように太陽の光を反射させ、美しいさざ波を立てていました。
基経は姫の棺に、香を収める箱、双鶴の鏡、塗りの扇、硯箱の一式などを納め、桜襲の装束、薄色の裳、練色の綾の袿を揃えて入れました。
その細やかな心づかいは、かつての日の橘のあでやかな面影を偲ぶための、この上ないよすがでもありました。
津の父親も、和泉の父親も、狩衣、袴、烏帽子、弓、胡籙(矢を入れる道具)、太刀などをそれぞれの棺に入れ、橘の姫の美しさに寄り添うようにしました。
こうして、彼らの眠りを妨げる者は、誰一人としていませんでした。
時が流れ、ある旅人がこの場所を通りかかり、次のような歌を書いて、そろそろ苔の生えかかけた三人の墓の上に、白々と秋風が吹く日、紙を置いていきました。
「束の間ももろともにとぞ契りたる 逢ふとは人に見えぬものから」
(ほんの束の間だけでも一緒にいようと誓い合ったのです。もっとも、その逢瀬は他人の目には決して触れぬものですが……)

そして、さらに月日は無情に流れ去っていきました。
ある日、一人の旅人が一首の歌を書き記し、風に飛ばされないようにと紙の上に小石を乗せていきました。
その前書きには「一人の男になりて」と記されており、残された男のどちらかの心をいたわり、また、旅人自身の心の傷を歌うかのような調べが含まれていました。同じ江に住むはうれしきなかなれど
    など我とのみ契らざりける

歳月は墓石に白い百年の苔をきざみ込んだ後の年、時はあたかものどかな春の真ん中だった。
女性にかわって、その胸の内を詠んで書き記した歌を一首、蓮華台のすき間の苔のあいだにそっと差し込んで、風のように去っていった旅人がいた。
住みわびぬわが身投げてむ津のくにの
    いくたの川のあらぬかぎりは

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