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お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第3話

木のうろから這い出た四つん這いの姿勢のまま、前方の怪しい宴会の様子をじっと見つめて、「気持ちよさそうに、酔っているな」とつぶやき、なんだか胸の奥底から、不思議な喜びが湧き上がってきました。お酒飲みというものは、よその人たちが酔っているのを見...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第2話

お婆さんも「命に関わるものではないのでしょうね」と、ニコリともせずに一言たずねただけで、それ以上はそのコブに何の興味も示してくれません。むしろ、近所の人たちの方が同情して、「どうしてそんなコブができたんでしょうね」「痛まないんですか?」「さ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第1話

「あ、鳴った!」お父さんがそう言って、ペンを置いて立ち上がりました。ただの空襲警報なら動じないお父さんですが、高射砲がドーンと鳴り出すと話は別です。すぐに仕事を中断し、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせて抱きかかえ、防空壕の中へと急ぎます。壕の...
小川 未明

初級翻訳・青い時計台 第2話

娘たちはみんな美しく着飾っていて、これまでになくきれいに見えました。そしてテーブルの上には、いろいろな花が咲き乱れているだけでなく、桃色のランプのほかに緑色のランプも灯っていて、まるで楽園に来たような気分でした。けれど、たった一人、お父さん...
小川 未明

初級翻訳・青い時計台 第1話

一 さよ子は毎日、日が暮れるころになると、二階のベランダの柵(さく)にもたれかかって、外の景色をながめるのが大好きでした。 まぶしいほど青々とした葉っぱに風が吹き抜け、海のような色の空に星がキラキラと光りだすと、遠くの町の明かりが、ミルク色...
小川 未明

初級翻訳・幽霊船 第2話

乙が顔を上げて沖の方を見ると、間違いなく、あの懐かしい船の姿がありました。しかも、昨日見たのと同じ……あの幽霊船が……こちらへ向かってこいでくるのが見えたのです。一瞬、ハッとしてうれしさに胸が躍りましたが、次の瞬間には、気味の悪さで体じゅう...
小川 未明

初級翻訳・幽霊船 第1話

沖のほうをながめると、キラキラと光るものが見えます。海の水はどこまでも深く、青黒い色をしていました。このあたりは北極に近い場所なので、いつもキーンと冷え切っています。その光るものは、だんだんと岸のほうへ近づいてきました。よく見ると、それが何...
小川 未明

初級翻訳・金の輪 第1話

一 太郎は長いあいだ病気で寝込んでいましたが、ようやく布団から出て、外へ行けるようになりました。 でも、まだ三月の終わりだったので、朝や晩はひんやりと冷え込むことがありました。 だから、お母さんからは「日が当たっているときは外で遊んでもいい...
小川 未明

初級翻訳・眠い町 第2話

それを見てかわいそうに思った少年は、ほんの少しの砂を監督人の体にふりかけました。すると監督は、あっという間に猛烈な眠気に襲われて、「さあ、みんなもちょっと休むぞ」と言い出し、帽子を顔に乗せて日の光を遮ると、ぐうぐうと寝込んでしまいました。ケ...
小川 未明

初級翻訳・眠い町 第1話

一 この少年の名前は、だれにも知られていませんでした。ですから、ここでは仮に「ケー」と呼ぶことにします。あるとき、ケーはこの世界を旅していました。そして、ある日ふしぎな町にたどり着きました。その町は「眠い町」という名前でした。町をのぞいてみ...
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