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宮沢 賢治

初級翻訳・水仙月の四日 第1話

雪婆んごは、ずっと遠くへ出かけていました。猫のような耳をして、ぼんやりとした灰色の髪をした雪婆んごは、西の山並みの、ちぢれてギラギラ光る雲を越えて、遠い場所へ旅をしていたのです。ひとりの男の子が、赤い毛布にくるまって、頭の中は「カリメラ(砂...
宮沢 賢治

初級翻訳・祭の晩 第2話

家に帰って、厩(うまや)の前から中に入ると、おじいさんがたった一人でいろりに火を焚き、枝豆を茹でていました。亮二は急いでおじいさんの向かい側に座り、さっきの出来事を全部話しました。おじいさんは最初は黙って亮二の顔を見ながら聞いていましたが、...
宮沢 賢治

初級翻訳・祭の晩 第1話

山の神さまのお祭りの秋の夜のことでした。亮二(りょうじ)は、新しい水色のしごきをきゅっと締めて、お小遣いの十五銭を握りしめ、お旅屋(おたびや)へ出かけました。「空気獣(くうきじゅう)」という見世物小屋が、ものすごい大繁盛です。小屋の幕の前で...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第6話

ホモイのお父さんが、ただの白い石のようになってしまった「貝の火」を取り出して、「もう、このような状態なのです。どうか、たくさん笑ってやってください」そう言ったとたん、貝の火は「カチッ」と鋭い音を立てて二つに割れました。かと思うと、「パチパチ...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第5話

しかしどうです、すぐご機嫌が直ったでしょう? 今日は一つ、うんと面白いことをやりましょう。動物園はお好きですか?」ホモイが「うん、嫌いじゃないよ」と答えると、キツネは懐から小さな網を取り出しました。「いいですか、これに網をかけておくと、トン...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第4話

これは『天国の天ぷら』というものですよ。最高級品です」そう言いながら、キツネは盗んできた角パンを差し出しました。ホモイが少し食べてみると、これが本当にもう、たまらなくおいしいのです。そこでホモイが「こんなものは、どの木にできるんだい?」とた...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第3話

何かご用でございますか?」ホモイはできるだけ威勢よく言いました。「お前は今まで僕をずいぶんいじめたな。これからは僕の家来だぞ!」キツネは気絶しそうになりながら、頭に手を当てて答えました。「へい、申し訳ございません。どうかお許しください!」ホ...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第2話

目に当てて空を透かしてみると、もう炎は消えていて、天の川がキラキラと透き通って見えました。目から離すと、またチラチラと美しい火が燃え出します。ホモイはそっと玉を捧げ持つようにして、家の中へ入りました。そしてすぐにお父さんに見せました。お父さ...
宮沢 賢治

初級翻訳・貝の火 第1話

いま、うさぎたちはみんな、短い茶色の服を着ています。野原の草はきらきらと輝き、あちこちのシラカバの木には白い花が咲きました。野原じゅうが、本当にいいにおいでいっぱいです。子うさぎのホモイは、うれしくてぴょんぴょん飛び跳ねながら言いました。「...
セロ弾きのゴーシュ

初級翻訳・セロ弾きのゴーシュ 第5話

ゴーシュはどんどん弾きました。猫が苦しがって火花を散らした場面も、扉に体を何度もぶつけた激しい場面も、すべて通り過ぎました。曲が終わると、ゴーシュは観客の顔など見ようともせず、ちょうどあの猫のように素早くチェロを抱えて楽屋へ逃げ込みました。...
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