library

スポンサーリンク
小川 未明

初級翻訳・魚と白鳥 第1話

川のなかで、魚の子どもが冬の間じっとしていました。水はとても冷たく、流れも速かったからです。水の底は暗く、どんよりとしていました。魚の子どもは、長い間こうしてじっとしていることに、すっかり退屈してしまいました。「早く水の中を自由に泳ぎ回りた...
田中 貢太郎

初級翻訳・魔王物語 第5話

「……ならば、正太夫の遺体はどこにあるのです?」権八は平太郎の手をしっかりと掴んだまま、左右を見回しました。「貴殿の背後にある。私は友を殺してしまったのだ、もう生きてはおられん」権八は首を曲げて背後を見ました。そこには、何も見えませんでした...
田中 貢太郎

初級翻訳・魔王物語 第4話

むっくり起き上がるやいなや、犬が走るようにして逃げ帰りました。翌日、作平は源之丞の家へ行き、起きてきたばかりの源之丞の顔を見るなり言いました。「昨夜はありがとうございました。あの時拝借した提灯は、松原で大入道に出くわしてしまい、捨てて帰って...
田中 貢太郎

初級翻訳・魔王物語 第3話

新八郎は恐ろしくなり、布団の中にもぐり込んで朝まで震えていました。翌日、平太郎は新八郎を送っていき、一日そこで遊んで夕方になって帰ってみると、近所の若い男たちが五、六人来ていて、「今晩は、お相手をしてやろうと思って来たのだ」と言いました。平...
田中 貢太郎

初級翻訳・魔王物語 第2話

「おい、どうした、どうした」と声をかけると、僕はやっと我に返ったように起き上がり、「夢でございましたか。今、大入道が飛び込んできて、私の上に乗っかってぐいぐい押しつけてきたので、息ができなくなりました」と言って、まだ恐ろしそうにきょろきょろ...
田中 貢太郎

初級翻訳・魔王物語 第1話

一日本には怪談がたくさんありますが、その多くは仏教の教えに基づいた「因果応報」の物語か、さもなければ狐や狸が化かすような妖怪話ばかりで、独立した悪魔が登場するような物語はあまり見かけません。そんな中で、備後国(びんごのくに)に伝わる「魔王」...
泉 鏡太郎

初級翻訳・魔法罎 第5話

寒いから」「ありゃ」と威勢よく頭を突き出して屈み、鼻息をふっと吹くと、一目散に黒い影となって、がたがたと月夜を駆け出していきました。……まるで猪(いのしし)が飛び出したかのようにまた驚いて、彼は広い辻に一人立ち、店々の電灯の数よりも多い、大...
泉 鏡太郎

初級翻訳・魔法罎 第4話

結綿(ゆいわた)の娘は、ふっくらとしている。二人とも鬘(かつら)を被ったかと思う。年齢は少ない、十三、四か、それとも五、六、七、八か。目尻に紅を入れたらしいまで極彩色に化粧したが、激しく疲れたと見えて、恍惚として頬に青みが差し、透き通るほど...
泉 鏡太郎

初級翻訳・魔法罎 第3話

揺れながら轟音を響かせ、汽車は天窓から鈍い錐(きり)となって、山の底へ潜り込むかのような、ただならぬ気迫に、少なからず圧倒されたのです。「これは難所だ」美人に見惚れていたせいか、あろうことか、ぐったりと鏡台にもたれかかっていたという、なんと...
泉 鏡太郎

初級翻訳・魔法罎 第2話

「月見堂(つきみどう)というのは、どこにあるのですか?」「あそこがそうです」と、少年の駅夫が指さしました。錦のように色づいた紅葉の淵に、霧をまとい、ススキが縁取り、まるで赤い毛氈(もうせん)を敷いた島のような山端に、ひときわ珍しく緑の木々が...
スポンサーリンク