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泉 鏡太郎

初級翻訳・魔法罎 第1話

一 山々の頂は、まるで木の葉で作られた虹のよう。谷間は、錦(にしき)を広げたような深い淵。……信濃の秋、山深い場所で見る、霜が降りて冴えわたった夕月の美しさといったら、もう、なんと表現すればよいのでしょう。……流れる川は、銀色の鱗を持つ龍の...
豊島 与志雄

初級翻訳・魔法探し 第2話

彼の体は底なしの池の中へ、逆さまのままどんどん沈んでいきます。上の方を見ると、池の水面や白い花、急に晴れた空や月の光などがぼんやりと見え、花の間では精霊たちが歌い踊っています。彼は深く沈みながらその景色をぼんやりと眺めているうちに、いつしか...
豊島 与志雄

初級翻訳・魔法探し 第1話

一むかし、ペルシャに、とてつもなく頭のいい学者がいました。この世のあらゆる学問を学びつくし、何ひとつ知らないことはないというほどで、王様やみんなからとても尊敬されていました。ところがある日、高い塔の上からお堀に落ちて亡くなった人を見て、彼は...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第27話

ウヘヘヘ……、おれがひとこと命じれば、三人の部下の持った短剣が、ぐさっと突き刺さるのだ。それでもいいのかっ!」 するとこんどは、明智探偵のほうが、魔法博士におとらぬ高らかな笑い声をたてました。「ワハハハ……、きみは、なんという頭のにぶい男だ...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第26話

上の部屋の黄金怪人が消えて、下の部屋の警察官の一団が現れたというわけです。上の部屋がすっかり降りてしまうと、中から黄金怪人が岩の廊下へ歩み出てきました。「ワハハハ……、魔法博士、おれの手並みがわかったか。きみが作ったびっくり箱を利用して、き...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第25話

こちらも黄金怪人、向こうも黄金怪人、ウリ二つの黄金怪人が、ふたりあらわれたのです。「まてっ!」こちらの黄金怪人が、恐ろしい歯車の声で、どなりつけました。すると、向こうの怪人は、ぎょっとしたように、こちらを見て、立ちどまりました。十メートルを...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第24話

明智の野郎も、三人の子どもたちも、ちゃんと牢屋に閉じ込めました」すると黄金怪人は、あの歯車のような声で、「うん、よくやった。これで安心というものだ。これからはわしが明智を鍛えてやる。つまり訓練を施すのだ。そしてわしの部下にしてしまうのだ」と...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第23話

すると、そのとき、恐ろしいことが起こりました。巨人の心臓から出ている大きな動脈が、パンと音を立てて破裂したのです。血管がやぶれたのです。そして、真っ赤な液体が、どっと滝のように流れ出してきました。三人とも、巨人の心臓の血に染まってずっしり濡...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第22話

「きさま、何者だっ!」おもわず、どなりつけますと、人形は美しいロウの顔をすこしも動かさないで、奇妙な笑い声をたてました。「エヘヘヘ……、わたしは、人形だよ。きみの作ったロウ人形だよ。」「うそをいえ! わしは、そんな、かってな口をきく人形を作...
江戸川 乱歩

初級翻訳・魔法博士 第21話

黒い怪物は、その窓のそばへよって、窓のガラスをトントンとたたきました。「だれだっ。」中から、男の声が聞こえ、だれかが、ガラッと、窓をあけました。三十ぐらいの人相のわるいやつです。この家が魔法博士のすみかだとすれば、この男は博士の部下なのでし...
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