風野又三郎

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宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第1話

九月一日 どっどどどどうど どどうど どどう、 ああまいざくろも吹きとばせ すっぱいざくろもふきとばせ どっどどどどうど どどうど どどう 谷川の岸に、小さな四角い学校がありました。 学校といっても、入口と、あとはガラス窓が三つ付いた教室が...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第2話

一郎と五年生の耕一(こういち)とは、ちょうど午後二時に授業が終わりましたので、いつものように教室の掃除をして、それから二人一緒に学校の門を出ました。そのとき、二人の頭の中は、昨日の変な子でいっぱいになっていました。そこで二人はもう一度、あの...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第3話

もう僕は早く谷から飛び出したくて、飛び出したくて仕方なかったんだよ。するとちょうどいいことにはね、いつの間にか上の方がたいへん空いているんだ。さあ、僕はヒラッと飛び上がった。そしてピュウ、ただ一足でさっきの白い着物の一団のところまで行った」...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第4話

唇をピクピクさせて、嬉しそうなのを無理やり真面目な顔にして歩き回っていたんだ。落ちていたザクロを一つ拾って齧ったから、僕はもう可笑しくて笑っちゃってね。一度塀に沿って戻ってから、急に叫んで大工の頭の上を駆け抜けたんだ。ドッドド ドドウド ド...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第5話

お前たちの言う『かまいたち』っていうのは、サイクルホールの小さいやつだよ」「ほ、おら、かまいたちに足切られたぞ!」嘉助が叫びました。「何だって? 足を切られた? 本当かい。どれ、足を出してごらん」又三郎は、ずいぶん嫌そうな顔をしてそう言いま...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第6話

」みんなが丘へ登ったとき、又三郎がいきなりマントをぎらっとさせて、そこらの草へ橙色や青色の光を落としながら出てきて、それから指を広げてみんなの前に突き出して言いました。「上海と東京は、僕たちの仲間なら誰でもみんな通りたがるんだ。どうしてか知...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第7話

そうだ、そのときは僕は海をぐんぐん渡ってこっちへ来たけれど、来る途中でだんだん走るのをやめて、それからちょうど五日目にここも通ったよ。その前の日は、あの水沢の臨時緯度観測所も通った。あそこは僕たちの日本では、東京の次に通りたがる所なんだよ。...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第8話

「照井耕一」という名前もちゃんと書いてありますし、さっき破れたところもすっかり縫い合わされて、切れた糸も別の糸でつないでありました。耕一は縁側に座りながら、とうとう笑い出してしまいました。九月七日次の日は雨もすっかり晴れました。日曜日だった...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第9話

でも稲やハッカやダイコンなんかはなかなか強いし、牧草も強いねえ」又三郎は少し話をやめました。耕一もすっかり機嫌を直して言いました。「又三郎、俺、あんまり怒って悪かった。許してくれよな」すると又三郎は、心から喜んだ様子でした。「ああ、ありがと...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第10話

けれども、とうとうすっかり冷たくなって、僕たちはガタガタ震えてしまうんだ。そうすると、僕たちの仲間はみんな集まって手をつなぐ。そして、まだまだ昇っていくね。そのうち、とうとうもう昇れないところまで来ちまうんだよ。その辺の寒さときたら、北極と...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第11話

最も愚鈍な者が、最も賢い者なり』また、ここから赤道まで八千六百ベスター(距離の単位)といった標識もあちこちに立っています。だから、僕たちはその辺りで五、六日は休むんですよ。そこは本当に面白い場所なんです。白熊がいるんです。テッデーベーヤ(シ...
宮沢 賢治

初級翻訳・風野又三郎 第12話

外はもうだいぶ明るくなっていて、土は濡れていました。家の前の栗の木の列は変に青く白く見えて、それがまるで風と雨とで今から洗濯でもするかのように、激しく揉まれていました。青い葉も二、三枚飛び、吹きちぎられた栗のイガは、黒い地面にたくさん落ちて...
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