吉川 英治

スポンサーリンク
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第189話

地蔵行者の菊村宮内は、その奇跡について、竹生島(ちくぶじま)に伝わる独楽(こま)である「火独楽」と「水独楽」をそれぞれが懐に入れていたおかげだと言い、その由来を詳しく話して聞かせました。本来であれば、蛾次郎は泣こうがわめこうが、ここで侠党の...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第188話

そなたもその仲間に混じって、領土を争うだけの武門として終わるつもりか。わたしは、そなたの将来を見込んで、願いたいことがある。よく考えてほしい。今は天下にとって大事な秋(とき)なのだ。そなたが、失った甲斐の領土を取り戻し、甲斐源氏の家を再興し...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第187話

神官たちはにわかに相談して、その善後策に沈鬱(ちんうつ)な空気をつくった。「夢にも知らぬご無礼、深くおわびをしたら、お咎(とが)めもあるまい。このうえは、一刻も早く、あの垢離堂から社家(しゃけ)へお移し申し上げ、また、付人の忍剣とやらの神縛...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第186話

彼は目がくらんでしまいました。ただそこに大きな楢(なら)の木があり、断崖の空間に向かって枝を曲げていました。バリバリと音を立てて、蛾次郎は幹を這い、その横枝へと移りました。しかし、そこもホッとするような安全地帯ではありません。血眼になった竹...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第185話

今朝のここは、まさに楽園です。神木の上に縛り付けられている忍剣を除いては、すべての生き物にとって、天国そのもののような秋の朝でした。そこへ――。のんびりとした鳥や獣を驚かせるような、人間の口笛が下の方から聞こえてきました。これもまた、晴れや...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第184話

クロハワタシヲコイシガッテイマス。ワタシモクロガコイシクテナリマセン。民部サマカラ若君ヘ申シアゲテクダサイマシ。ワガママナコトデス』置手紙には、竹童の文字でこう書いてあった。「彼のことだ。それなら案じることはない」むしろ一党の人はそれで愁眉...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第183話

連帯責任として伊那丸たちが垢離堂に監禁されたのを見て、あれほど騒ぎ立てていた徳川家の侍たちも、いくぶん溜飲が下がったのか、死骸を片付け、血が流れた場所に砂を撒き、大講会のために建てられた屋舎を壊すと、夜明け前には一人残らず御岳の山から下りて...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第182話

忍剣はいま、さながら羅刹(らせつ)であり、夜叉であり、奸譎(かんけつ)な非武士の卑劣を憤怒する天魔神の姿だった。普段は無口で、伊那丸に対しては柔順であり、友情にもろく、小事にこだわらず、鉄杖に殺風を呼ぶことも滅多にない男である。しかし、いっ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第181話

そうして鐘巻一火(かねまきいっか)の控え場へ、凱歌を奏して引き返してきたのはいいが、あれほど争奪の焦点となっていた、肝心の咲耶子その人の姿が、いつの間にか失われていた。門人たちは驚いて、「たった今まで、ここで手当を受けて静かにもたれかかって...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第180話

これはどうしたものか」両者の間に立って、彼が途方に暮れて腕組みを固く結んだその時、「いや、しばらく!」一党の人々を押しなだめて、そこへ出てきたのは遠駆け試合の当の本人である巽小文治でした。黒々とひと癖ある顔を並べた先方の者たちをじっと見回し...
スポンサーリンク