国枝 史郎

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レモンの花の咲く丘へ

初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第17話

二羽、三羽と羽ばたいたので、水しぶきが銀の砂みたいにパッと空へ舞い上がりましたよ。女子 ううん、違うわ、あれは悪い前兆よ。どう見ても、死んだ人を運ぶお葬式のひつぎの舟に見えるじゃないか。使女A またお嬢様はそんな気味の悪いことをおっしゃる。...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第16話

(少し間を置いて)本当にお月様は空の真ん中を歩いていらっしゃるけれど、そのご様子がまるで何か大変な心配ごとでもあるかのように見えるじゃないか。それに私には、いつもよりずっと形が大きく見えるし、光が青く見えるし、なんだか震えていらっしゃるよう...
レモンの花の咲く丘へ

初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第15話

(間)俺が弾く「暗と血薔薇」の曲には、道徳に背いた邪悪な恋が歌われ、許されない欲望が語られているが、あのホ短調のワンフレーズには、正しく切実な嘆きがこもっている。愛おしくてたまらないという純粋な気持ちと、絶対に想いを遂げなければ死んでしまう...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第14話

その姿はまるで、先ほど公子が語っていた、死んだ領主の妻が誘惑へと引き寄せられていったときの様子そっくりです)おおい女よ、いまこそお前は、自分が恋い焦がれていた男の姿を見ることができるのだ。この紫色の長衣をまとい、銀の竪琴をたずさえた――。北...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第13話

髪をすく櫛を折り、鏡を砕き、赤い色のあらゆる衣を引き裂いて、貞操を守り抜いた若い後家であっても。一度Fという魔法使いの奏でる「暗と血薔薇」の音色を聞けば、必ずや熱い血潮が騒ぎ出すのです。(と、銀の竪琴を激しくかき鳴らす)女子 その「暗と血薔...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第12話

女子 若様と、明日の勝負のお話をしていたところなの。(やや小声になって)それから、あのお方は奥にいらっしゃりはしなかったかい?使女B 浅黄色の服の方、萌黄色の服の方、オパールよりも涼しげな白い服の方なら何人もいらっしゃいますが、紫色の服の方...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第11話

ああ、ああ、あの夜のあまりにもすさまじく、神秘に満ちあふれていた様子と言ったら……空の光に迷うフクロウの声、海の波間でピカッと光る夜光虫、遠い遠い沖の方から、何者ともしれない響きがかすかに起こり、しばらくしてピタリと鳴り止むと、あたりはシン...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第10話

公子 その怪しげな音楽家は、いったいどのような姿をしておりましたか?(思い当フシがあるという様子で)女子 (ためらうことなく)紫色の長い上着を着て、月桂樹の冠をかぶり、銀の竪琴を持った、若く美しい騎士の姿でございました。公子 (思わずガバッ...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第9話

――そんな無駄な心配はしないで、さあ、早くその赤い花の送り主を僕に語って聞かせておくれよ」女子 (頭を少し傾けて肩に預け、まるで遠い過去を懐かしむような遠い目をする)「北の海辺にある小さな領主の一人娘が、夏の終わりの夕暮れ時に、ぽつんと浜辺...
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初級翻訳・レモンの花の咲く丘へ 第8話

女子 その一つの願いは、私にとってまるで呪いのようにも思えてならないのです。お話しすることは簡単なことですけれど、たとえお話ししたところで何の役にも立たないことですから……。若様 それはあまりにも、冷たいお言葉というものじゃないか。だが、そ...
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