壺井 栄

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二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第6話

岬の山のてっぺんがかすかに揺れ動いているような様子は、外海の波の荒さを思わせ、少し不安にもなった。途中で自転車から降りなければならなくなるかもしれないからだ。そうなると、自転車ほど邪魔なものはない。しかし、だからといって今さら引き返すわけに...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第5話

だが、そんなことさえ「行きじゃなくて帰り道でよかった」とありがたがるほど、彼女は素直で前向きな気持ちでいっぱいだった。やがて平らな道に出ると、朝出会った生徒の一団も学校から帰ってきたところだった。――大石、小石――大石、小石何人もの声が合わ...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第4話

三・四年生のクラスがさっさと教室へ入っていったあと、大石先生はしばらく両手を叩きながら、そのリズムに合わせて子どもたちに足踏みをさせ、うしろを向いたまま教室へと導いた。ここでようやく、自分を取り戻したようなホッとするゆとりが心の中に湧いてき...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第3話

ところが、ちょうどその同じころ、岬の村でも大さわぎだった。昨日は舟にのってきたとかで、気がつかぬうちにまた舟で帰ったのをきいた村のおかみさんたちは、今日こそ、どんな顔をして道を通るかと、その洋服をきているという女先生を見たがっていた。ことに...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第2話

「芋女(いもおんな)ァって、どなるか」「芋女でなかったら、どうする」「芋女に、きまっとると思うがな」 口ぐちに芋女芋女といっているのは、この地方がさつま芋の本場であり、その芋畑のまん中にある女学校なので、こんないたずらな呼びかたも生まれたわ...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第1話

一 小石先生 十年をひと昔というならば、この物語の始まりは今からふた昔半も前のことになります。世の中のできごとといえば、選挙のきまりが変わって「普通選挙法」という法律ができ、その最初の選挙が二月に行われた、その二か月後のことでした。昭和三年...
おるすばん

初級翻訳・おるすばん 第2話

手を引いてやろうとしても、ふりきって登ってしまうんだ。おかげで帰りは疲れ果ててしまって、ずっと眠りこけていてね。お母さんがえらく大変な思いをしたものさ。お前は石俵みたいに重たい子だったからな」和子の想像の世界には、眠りこけた子をおぶって、何...
おるすばん

初級翻訳・おるすばん 第1話

「えっ、私がおぼれかけたの? どこで?」和子はびっくりして、とんきょうな声をあげました。おじいさんは真っ白な髪の頭を後ろになでながら、はっはっはと笑って言いました。「それじゃあ話していなかったかのう。あの時、お前のお母さんにひどく叱られたん...
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