壺井 栄

スポンサーリンク
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第16話

怪我じゃもん、しかたがない」「そんな目に遭うても、別れのあいさつとは気がええこっちゃい。ゆんとん、さんじゃい」 船頭さんは櫓にあわせて短く言葉を区切りながら、「ゆんとん、さんじゃい」と、いっそう力を入れて漕いだ。大石先生もくつくつ笑いながら...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第15話

お母さんのお話だと、当分自転車にも乗れないということだったので、そうはからったんだがね」もう、返す言葉がありませんでした。すると、岬の村がいっそう恋しくなり、思わず未練がましく尋ねました。「後任の先生は、どなたでしょう」「後藤先生です」「あ...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第14話

遠かったあ……!」仁太が口火を切ったのをきっかけに、みんなも口ぐちに言いはじめました。「みんなで約束して、だまって来たんよ、なあ!」「一本松が、なかなか来んもんで、コトヤンが泣きだしたところじゃったんよ」「せんせ、一本松ってどこ? まだまだ...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第13話

コトエはそこで、草むらに学校の包みをかくして、みんなを待ちました。吉次とソンキが、先をあらそうように走ってやってきました。つづいて竹一と正。いちばんおくれてやってきたのは、富士子と仁太でした。仁太は用心深く、シャツやズボンの四つのポケットを...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第12話

数え年の十歳になるまでは遊んでもよいというのが、昔からの子どもの掟のようになっていましたが、遊ぶといっても、それは本当に自由に遊ぶのではなく、いつも弟や妹をつれていたり、赤ん坊をおんぶしてのうえでのことだったのです。本当に、好き勝手に遊んで...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第11話

そこでとうとう、ヒ・フ・ミ・ヨ・イ・ム・ナ・ヒ(日本の古くからの数え方に合わせた独自の音階)から始めて、男の先生流の教え方で押し通すことにした。そうなるとなったで、生徒たちはすっかり面白がって大喜びした。――ミ、ミ、ミ、ミ、フ、フ、フ、ヒ、...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第10話

こんな夜ふけに、こんなにも苦労をしているのは自分たちだけなのだと思うと、なんだか女の先生のことがうらめしく思えてなりませんでした。 あれ以来、奥さんもまた一役買って出て、四年生と五年生の女子五人の裁縫を受け持っていたのです。しかし、雑巾を縫...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第9話

「痛いですか、ひどく?」 かけつけた男の先生に聞かれて、女の先生はだまってうなずきました。「歩けそうですか?」 また、うなずきました。「いっぺん、立ってみるか?」 先生はだまったままです。西口ミサコの家から、ミサコのお母さんが、うどんこと卵...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第8話

そんなつもりはちっとも――」「いいえ、だったらどうして人の災難を笑ったりなんかしたんですか。そんなことなら、お上品に道路の掃除なんかしてもらわなくて結構です!とにかく、わたしの家の前はほっといてください。――まったく、自分の自転車が通れんか...
二十四の瞳

初級翻訳・二十四の瞳 第7話

それにしても、入り海をとりかこんだ村ぐらにとって、大昔から何かにつけて目じるしにされてきた名物の老松が災難にあったのに、地元にいる自分が気づかずにいたなんてとても恥ずかしいことでした。しかも今朝がたは、いい気になって調子に乗り、一本松の下か...
スポンサーリンク