山彦乙女

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初級翻訳・山彦乙女 第31話

なにとってもそれが初めての恋で、二人ともおとなしく、引っ込み思案な性格だったものだから、表立っては決して出しませんでしたが、お互いに心の中ではすっかりと突き詰めた深い仲になっていたらしいのです。そんなところに、いよいよ獄から戻ってくる亭主は...
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初級翻訳・山彦乙女 第30話

どちらを見渡しても、なだらかな丘の起伏がどこまでも続き、雑木林や草原、そして畑のあちこちに、強い風を防ぐ木々に囲まれた農家や、神社、お寺のうっそうと茂る森が、古めかしくひっそりと佇んでいるのが見えるばかりでした。薬園はおよそ八千坪ほどの広さ...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第29話

主馬はすでに捉まったのである。それはもうできた事だ。それよりも村田に知らせて、村田を危険から救うほうがいい、村田に主馬を助け出す法があるかもしれない。こう思いなおした。――だけど、どうしよう。村田はもうすぐここにやってくるはずだ。家にはもう...
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初級翻訳・山彦乙女 第28話

「これには少しの誇張もない、彼女はすこぶる明朗で、無邪気で、塵ほどの汚れもない顔つきで、こんなふうな眼つきをして、しなやかに身をくねらせて言うんだ、自分は貴方ひとりが生涯の良人だと信じていた、死ぬまでそう信ずるであろう、男の子は婚家へ取られ...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第27話

その女主人というのは、ちょっと息をのむような美人で、そのうえ、普段の暮らしぶりや召使たちに対する態度が、まるで大名のお姫さまにも負けないほどの威厳と気高さだそうだよ」「そんなことまで調べていたとしたら、あのときお酌に出てきた女中の一人は……...
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初級翻訳・山彦乙女 第26話

徳川幕府の権威がだんだんと揺るぎないものになり、これから先ほぼ百年は平和が続くだろうという見通しが立ったのと同時に、自分の主君を持たない武士たちや、お家取り潰し(改易)によって浪人となった人々が、新しく仕官したり出世したりするチャンスがどん...
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初級翻訳・山彦乙女 第25話

「この家の板前をしている、清太郎という人なんです。ご存じないでしょうけれど」「うん、知らない。しかし、それはいい縁じゃないか。同じ家にいたのなら、お互いに気心が知れているだろうし」「ええ、とっても優しくていい人なんです」言いかけてから、あら...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第24話

そう訊いてやりたかった。 半之助の役替えには、村田平四郎の勧誘があった。 それは、青山主馬と築地の「丸茂」へ行ったことから始まっている。 村田も青山も、幕府の偉い人たち(はっきりとはわからないが、その中心人物は若年寄の久世大和守という人らし...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第23話

昌雲寺で法事があったとき、千之助と冲左衛門が知り合ったことは千之助の口から聞いていたが、彼がどうして谷町に出入りするようになり、いつの間にそんなに親しくなったのか、半之助にはまったく想像もつかなかった。もちろん、今の半之助にとっては自分には...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第22話

「ここはどこ? この橋の名前はなんというの?」駕籠の中から、すぐ脇に付いている和助へと、次から次へとしつこく質問を浴びせかけた。槍持ちの供を連れて馬に乗った侍などが通りかかると、あれはどれくらいの身分なのだろうか、幕府の直参だろうかそれとも...
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