山本 周五郎

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ゆうれい貸屋

初級翻訳・ゆうれい貸屋 第3話

今夜のところは、あたしがなんとかするわ」「なんとかって、どうにかなるのか?」「旦那さんになるかもしれない人のためだもの。あたしだって、いいところを見せたいじゃない。ちょっと待ってて」 ゆうれいはスウッと立ち上がりました。「今、何か持ってきて...
ゆうれい貸屋

初級翻訳・ゆうれい貸屋 第2話

よく飽きないもんだ」 彼は首すじやスネのあたりをボリボリとかきました。「なんだかゾクゾクするじゃないか。それに、ひどく不気味な晩だぜ。夜明けまではまだあるのかな」 独り言をブツブツ言っていましたが、そのとき、かなり不思議なことが起こりました...
ゆうれい貸屋

初級翻訳・ゆうれい貸屋 第1話

一 なまけものにも言い分はある 江戸の京橋にある「やんぱち長屋」という古い建物に、桶(おけ)を作る職人の弥六(やろく)という男が住んでいました。 弥六は、とんでもないなまけものでした。 それはもう、ちょっとやそっとのなまけ方ではありません。...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第12話

一昨日に返事があって、今日の夕方にはこっちに着いているはずなんだよ」ちょび髭の前にペタッと這いつくばり、恥も外聞もなく情けない泣き言を並べ立てた木内桜谷の姿が、房二郎の脳裏にあらためて痛ましくよみがえりました。「大丈夫さ」と、房二郎は言いま...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第11話

「いま私を口説いたばかりじゃないの!」「うるせえ、おれにはちゃーんと女房がいるんだ!」「おかみさんを持っているのは、あんた一人だけじゃないよ、まったくもう!」女は木内をもっと強く抱きしめました。「かみさんもいないような男なんて、一緒に寝たっ...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第10話

「そのくせ、そういう未知のものごとに、触れてみたがるのが人間っていうやつさ」「口で言うぶんには、地面から天まで説明することができるさ」と房二郎が言った。「他人の火傷は痛くないっていうからな」そして、本当の痛みがやってきた。その夕方、ちょび髭...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第9話

『仮名がき女庭訓(かながきおんなていきん)』というのは、子守をするような子供たちにまで読ませるためのものですから、もっと普段の言葉(俗語)で書かなければ売れないと思うんですがね」「普段の言葉と美しい文章のどこが違うんですか」と房二郎は言い返...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第8話

そんなことを思いながら文華堂へ行き、店の脇にある階段を登ろうとすると、女中のおかつが急いで駆け寄ってきて、「この間はまたありがとうございました」と、顔を真っ赤にしながらもじもじとそう言った。「お腹いっぱいでお弁当なんて食べられないのに、この...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第7話

二階の記事部屋に上がると、木内桜谷が頭に手ぬぐいをきゅっと結び、机に向かって、相変わらず酒を飲み飲み、勢いよく筆を走らせていた。房二郎は自分の机の前に座ると、財布を出して中を調べてみた。家を出るときにおるいが、「少し入れておいたからね」と言...
へちまの木

初級翻訳・へちまの木 第6話

「もしお酒を飲むんなら、ちょっと待ってね」とおるいは言った。「朝から何も食べていないんだもの。お粥ができたから、それを食べてからにしなさいよ」「食べ物はいいや、まず酒にしよう」「だめよ」とおるいは房二郎の肩を軽く叩いた。「もうできているんだ...
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