山本 周五郎

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山本 周五郎

初級翻訳・水中の怪人 第2話

「じゃあ、船室まで送っていきましょう」文吾は良子の腕を取り、船室へと案内しました。そこは上甲板にある特別室です。「じゃあ、おやすみ」と握手を交わし、文吾が扉の外へ出て甲板へ戻ろうとしたその時。今しがた船室に入ったはずの良子が「平林さんッ!」...
山本 周五郎

初級翻訳・水中の怪人 第1話

人間か、それとも河童か? 海底を歩く謎の怪物 いまの時代に「河童がいる」なんて言っても、信じる人はまずいないでしょう。たとえ河童が広く信じられ、絵に描かれたり、まことしやかな物語として語り継がれていた時代でさえ、少しの知識がある人たちは、そ...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第5話

広場に人夫とみえる男が四、五人、馬の背へ残りの荷物をしばりつけているところだ。お糸は走った。そして篝火の中から、燃えている松を一本ぬきとると、まだ荷をつけてない一頭の馬へ、いきなり飛び乗った。――積荷で夢中だった人夫たちがそれと気づいて、「...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第4話

「あっ」「動くな、拙者のにらんだ通り、お前はやっぱり土生一族の密偵だったな。――来い!」逃れようと、しきりにもがく少女の体を、石岡はずるずる引きずるようにして屯所の小屋へ入った。――そして、あきれている半九郎の前にどうんと突き倒した。「隊長...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第3話

「我々は敵にかこまれている、しかしこの砦はかたい、兵糧も弾薬もたくさんある、そして一日二日のあいだには三百人の後援隊が来るんだぞ、それよりおくれることは絶対にない、一日か二日だ、そのあいだがんばってくれ、わかったか」「官軍の名をけがすな」石...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第2話

しかし、そっと半九郎を見上げたひとみは、もうさっきほどおびえた色ではなかった。「いってごらん、こわいことはないよ」「はい、わたくしは酒田の御領分の者でございます。父は海産商人で名は市郎兵衛、わたくしはお糸と申します」「――うん」「父といっし...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第1話

慶応四年二月(この年の九月に明治という新しい時代になります)、天皇の命令を受けて奥羽(おうう)を征服するため軍を仙台に進めた九条道孝(くじょうみちたか)さまは、四月の初め、まず庄内藩(しょうないはん)の酒井忠寛(さかいただひろ)を討つため、...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第17話

「これからは、時々ここに顔を出すといい」「それでは、私どもが営む舟仙(ふなせん)へも、いつかお越し下さるときがまいりましょうか」悠二郎もまた次の木へと移りながら尋ねる。どうやらお互いに、今の感動で涙に濡れた顔を見られたくないらしい。繁りあう...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第16話

薄情な主人だと恨んだだろうな。――あんなに約束したのに、いざという時になってその約束を破り、いないものかのように扱った。恨むのが当然だ。もし俺がお前の立場だったとしても、きっと腹を立てずにはいなかったと思う」「正直に申し上げます。お言葉のと...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第15話

「――悠ちゃんの苦労するのを見て、あたしが平気でいられると思って、……あたしがどんなに心配しているか、あんたわかっちゃあ呉れないの」 悠二郎はそこへ寝ころんだまま、長いこと黙っておみつの泣くのを聞いていた。それからやがて眼をつむったまま、低...
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