新美 南吉

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新美 南吉

初級翻訳・椋の実の思出 第1話

それは秋のこと――。ちょうど小学五年生の、今くらいの時期だった。いつもと同じように、裏手を流れる川の土手に青々と茂り、高くそびえ立つ椋(むく)の木に登って、繁(しげル)、正彦(まさひこ)、勝次(かつじ)、そして僕の四人は楽しく遊んでいた。裏...
新美 南吉

初級翻訳・月の角笛 第1話

月の角笛新美南吉月が角笛を夜ふけに吹いたぽうぽうぽうよ、ぽうぽうぽうよ。犬が野原をかけめぐってないた。ぎりり、時計のねじをまいて  牧師さんが階段を、ことことおりた。月が角笛をとおくで吹いた。ぽうぽうぽうよ、ぽうぽうぽうよ。牛があくびをあわ...
巨男の話

初級翻訳・巨男の話 第2話

それでも、王様は「それで十分だ」とはおっしゃいませんでした。そこで、巨男はふたたび南の国へ向けて旅立ちました。長い鎖を引きずりながら、白鳥を連れて、巨男は広くて何もない砂漠を、来る日も来る日も歩いていきました。そして巨男は、また大きな大理石...
巨男の話

初級翻訳・巨男の話 第1話

巨男(きょなん)とお母さんが住んでいたのは、ここからずっと遠く離れた、深い森の中のことでした。巨男のお母さんは、とてもおそろしい魔女でした。鷲(わし)のように曲がった高い鼻をして、蛇のようにギラギラと光る鋭い目をした、あのおそろしい魔女です...
子どものすきな神さま

初級翻訳・子どものすきな神さま 第1話

子どものことが大好きな、小さな神さまがいました。ふだんは森の中で歌をうたったり、笛を吹いたりして、小鳥や動物たちと遊んでいましたが、ときどき人が住んでいる村へやってきては、大好きな子どもたちと一緒に遊ぶのでした。けれどこの神さまは、いちども...
売られていった靴

初級翻訳・売られていった靴 第1話

靴屋の見習い、兵助(ひょうすけ)が、初めて一足の靴を作り上げました。するとそこへ一人の旅人がやってきて、その靴を買っていきました。兵助は、自分の作った靴が初めて売れたことがうれしくて、うれしくてたまりません。「あの、もしもし。この靴墨(くつ...
和太郎さんと牛

初級翻訳・和太郎さんと牛 第5話

和太郎さんは庭で、よぼよぼの牛をくびきから外して、たらいに水を汲んで飲ませていました。「やい、和太!」と、村の知恵者である次郎左エ門(じろうざえもん)さんが言いました。「おぬしは村じゅうの者にえらい迷惑をかけたが、わかっとるのかや。おれたち...
和太郎さんと牛

初級翻訳・和太郎さんと牛 第4話

おまわりさんの芝田さんは、何か事件でも起きたのかと、電灯の下であわてて黒いズボンをはき、サーベルを腰につるしながら下りてきました。しかし、話を聞いた芝田さんは、少し拍子抜けした様子で言いました。「そりゃあ、また和太郎さんが一杯やったんだろう...
和太郎さんと牛

初級翻訳・和太郎さんと牛 第3話

「さあ、なめな」 牛は、「おり」の上に首を下げて、しばらくじっとしていました。 それは、においを嗅いで、これがうまいものなのか、まずいものなのかを判断しているように見えました。 見ている百姓たちも、息を殺して「牛は酒を飲むんだろうか、飲まな...
和太郎さんと牛

初級翻訳・和太郎さんと牛 第2話

「だが、お母さんは稲で目を突いて、そんなふうになってまで、わしを育ててくれたんだぞ」 「それでも、わたしはあの潰れた目を見ていては、ご飯が喉を通らないのです」 和太郎さんは、お母さんと二人きりになったときに話しました。 「おチヨは、お母さん...
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