新美 南吉

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和太郎さんと牛

初級翻訳・和太郎さんと牛 第1話

一 牛ひきの和太郎さんは、とっても素晴らしい牛を飼っているね、と村のみんなが噂していました。 でも、その牛ときたら、もうヨボヨボのおじいさん牛です。お尻の肉はげっそりと落ちて、あばら骨だって数えられるほど浮き出ていました。 それに、荷車を引...
名なし指物語

初級翻訳・名なし指物語 第4話

さっきまでカルタ遊びで賑わっていた台所のほうも、もう寝静まっていました。チョロチョロと小川の水の流れる音だけが、この深い静けさの中から聞こえてくる唯一の物音でした。マタンの左手がちょうど、引き出しの中の財布を覆い隠そうとしたとき、彼は「コツ...
名なし指物語

初級翻訳・名なし指物語 第3話

「旅の方のようですが、どちらへ行かれるのですか?」マタンは、顔のつるりとしたその男を、なんて嫌な感じのやつだろうと思いましたが、正直に、これから帰ろうとしている自分の村の名前を告げました。「へえ、そうですか」男は、まるでうれしいニュースを聞...
名なし指物語

初級翻訳・名なし指物語 第2話

「マタンちゃん、いけないってば!」ジュリーが右手を引っ張ると、マタンは引っ張られるままに降りてきました。けれど、どうしたことでしょう。マタンは左手を押さえて、その場にしゃがみ込んでしまいました。顔色は真っ青でした。「あっ、マタン……!」ジュ...
名なし指物語

初級翻訳・名なし指物語 第1話

南のほうのあたたかい町に、いつもむっつりと仕事をしている、ひとりの年とった木ぐつ屋がいました。目はぞうのように小さく、しょぼしょぼしていましたが、それにひきかえ、鼻とてのひらが、人一ばい大きく、そのうえぶかっこうでした。けれど、そのぶかっこ...
去年の木

初級翻訳・去年の木 第1話

一本の木と、一羽の小鳥は、とっても仲良しでした。小鳥は一日中、木の枝の上で歌を歌い、木は一日中、うれしそうにその歌を聞いていました。けれど、寒い冬が近づいてきたので、小鳥は木と別れて旅立たなければなりませんでした。「さようなら。また来年帰っ...
仔牛

初級翻訳・仔牛 第1話

ある日、仔牛が お父さん牛とお母さん牛のところへいって、「お父ちゃん お母ちゃん、あたし 体の中が むずむずするの。」と いいました。お父さん牛も お母さん牛も すっかり よろこんで よだれを たらしました。そして お母さん牛が いいました...
二ひきの蛙

初級翻訳・二ひきの蛙 第1話

緑色の蛙と黄色の蛙が、畑の真ん中でばったり出会いました。「やあ、きみは黄色いんだね。なんだかきたない色だなあ」と、緑の蛙が言いました。「きみは緑じゃないか。もしかして、自分のことがそんなに美しいと思っているのかい?」と、黄色の蛙が言い返しま...
デンデンムシノ カナシミ

初級翻訳・デンデンムシノ カナシミ 第1話

でんでんむしの かなしみ新美南吉 ある日のこと、一ぴきのでんでんむしがいました。そのでんでんむしは、ある日たいへんなことに気がついたのです。「わたしは今までうっかりしていたけれど、わたしのせなかのこうらの中には、かなしみがいっぱいにつまって...
くまの こ

初級翻訳・くまの こ 第1話

くまの子新美南吉 あるとき、猟師(りょうし)が雪の積もった山へ、狩りに出かけました。 一羽のウサギを見つけたので、木のあいだや小道を追いかけまわし、やっとの思いで仕留めました。 ウサギを袋に入れて、その木の底でひと休みしてから、家の方へ帰ろ...
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