江戸川 乱歩

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一寸法師

初級翻訳・一寸法師 第4話

翌日、小林紋三は十時ごろまで寝坊をしていました。近所の小学校の運動場から聞こえてくる騒がしい声でふと目を覚ますと、雨戸の隙間から差し込んだ日光が、彼の油ぎった鼻の頭をまぶしく照らしていました。彼は寝床から手を伸ばして窓の戸を半分だけ開けると...
一寸法師

初級翻訳・一寸法師 第3話

しかし、紋三の前を二、三歩通り過ぎた時、一寸法師の懐から何か黒いものがポロリと転がり落ちました。繻子(しゅす)の風呂敷のようなもので包まれた、三十センチほどの細長い品物でしたが、風呂敷の端がほどけて、中身が少しだけのぞいていました。それは明...
一寸法師

初級翻訳・一寸法師 第2話

そこで、やや逃げ腰になりながら目を凝らしてみると、それは喧嘩ではなく、一人の洋服姿の紳士が警察官に捕まっているところでした。二言三言怒鳴っているうちに、紳士はあっさりと腰縄をかけられてしまいました。二人は無言のまま仲良く並んで、交番の方へ歩...
一寸法師

初級翻訳・一寸法師 第1話

【作者の言葉】私は探偵小説を書いている者です。でも、「探偵小説」といっても、今ではいろいろなタイプに分かれていて、昔ながらの探偵小説とはずいぶんイメージが違うものもあります。私が書く作品は、最後まで読んでもらわないと分からないかもしれません...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第25話

その縄を前の骸骨男の首にひっかけて、馬から引きずり下ろそうとしているのです。小林少年は、後ろの自動車からそれを見ていました。「おい、あれをごらん! 明智先生はカウボーイみたいに、投げ縄ができるんだよ!」となりの井上君をひじでつついて、誇らし...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第24話

「ウオッ……!」恐ろしい唸り声を上げて、後ろ足で立ち上がったクマは、人々にのしかかるようにして戦いを挑んできました。恐ろしい取っ組み合いが始まったのです。「ウオッ、ウオッ!」サーカス団員の一人がクマの下敷きになって、もがいています。三人の警...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第23話

そしてパッとカーテンをまくると、そのまま楽屋の中へ消えてしまったのです。サーカス団員たちはみんな真ん中の砂場に出て、骸骨の空中曲芸を見上げ、口々に何か叫んでいましたが、怪人が楽屋に消えたのを見ると「ワアッ」と声を上げて、そのあとを追いました...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第22話

青い自動車怪老人は原っぱを出て大通りまでくると、そこを走っていたタクシーを呼び止めて乗り込みました。物陰に隠れてそれを見ていた三少年は、相手に逃げられてしまっては大変ですから、急いで大通りに飛び出しましたが、幸いすぐ後ろから空のタクシーが走...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第21話

「きみたちは、ずっとこの入口を見張っていたのだね。」「はい、そうです」「では、さっき中へ入ったのは何人だったんだね?」「五人か、六人です。……あっ、そうです。たしか六人でした」「六人だって? しかし、ここにはきみたちのほかに五人しかいないじ...
サーカスの怪人

初級翻訳・サーカスの怪人 第20話

ハハハハハ……まあ、やってみるがいい」「え? やってもいいのかね」「いいとも、やってみたまえ」「よしッ、それじゃあこうだッ!」二十面相が立ち上がり、パッと二、三歩後ろに下がったかと思うと、カタンと音がして、たちまちその姿が消え失せてしまいま...
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