透明人間

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海野 十三

初級翻訳・透明人間 第17話

おおかた、子どものいたずらでございましょう」「子どものいたずらか」 お手伝いがひきとっていくと、博士はスタンドを手もとにひきよせ、一生けんめいに書き物をはじめた。部屋の中はしずかで、時をきざむ時計の音だけがきこえている。夜の二時になった。博...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第16話

三人が息をころしてドアを見つめていると、奥の部屋から、ひょいとトーマスが顔を出して、「家じゅうのドアは、みんなしめてありますかい? 透明人間のやつは、きっとぐるっとまわり道をして、あいているドアをさがすはずですぜ。悪魔のように、ぬけめのない...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第15話

人もいなければ動物もいません。ただ金貨だけがふわふわとかなりの速さで飛んでるんですよ。わたしが近づいたとたんに、どこへともなく消えてしまったんです」 かれらは口をそろえて言った。「そして驚くじゃありませんか。その金貨は、どうも、ほうぼうの金...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第14話

やつの口から透明人間なんていうでたらめが飛び出して、あちこちへ広まっていったんですからね」 船員は、半信半疑の表情でトーマスの顔をじっと見つめた。「だが、新聞に載っているし……それに、りっぱな人たちが証人になっているじゃないか」「うそですよ...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第13話

ベンチの上にはれいのノートが三冊、革ひもでしばっておいてある。テーブルクロスの包みのほうは、とちゅうで透明人間の気がかわり、ブランブルハーストをでたところの松林ですててしまったのである。トーマスのようすはひどくへんだった。せかせかとあたりを...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第12話

「おい、かわったやつじゃねえか。気をつけたほうがいいぜ」 ハクスターがホールにささやいた。男は、ぐいぐいと流しこむようにたてつづけていく杯ものみ、口のはたをてのひらでぬぐうと立ちあがって、中庭にぶらりとでていった。たばこに火をつけ、ぶらぶら...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第11話

かれはさっきから目のまえの草のうえに、二足の長靴をきちんとならべて、つくづくと見いっていた。片方はいままではいていた長靴で、片方はさっきもらったばかりの長靴だ。いままでの分は、足にぴったりとしてはき心地はよかったが、ひどい古靴で、雨がふると...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第10話

ジャッファーズ巡査は、えらい元気よくずかずかととびこんでいきました。すると旅館のうす暗い台所のすみに、なんと首のない人間が、片手にかじりかけのパンを、もう片方の手にはチーズの大きな切れをもって、ぽつんと立っているではありませんか。「あれです...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第9話

「お客さま、ちょっとうかがわせておもらい申してえだが――」ホールがまのびした声をかけた、とたん、「うるさい、でてゆけ!」すさまじい声といっしょに、ホールは胸ぐらをどーんとつかれて、ばったりたおれた。魔術師か?り、りりりーん! もうれつな勢い...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第8話

そのとき、かすかに部屋の空気がゆれて、だれかが部屋をでてゆくけはいがした。が、やはりだれもいないのだ。「金貨はなくなっていますよ」夫人がさけんだ。「うん、ろうそくだってともっている。だれかがこの部屋にいたことはたしかだよ」「こんなおかしなこ...
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