海野 十三

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海野 十三

初級翻訳・透明人間 第12話

「おい、かわったやつじゃねえか。気をつけたほうがいいぜ」 ハクスターがホールにささやいた。男は、ぐいぐいと流しこむようにたてつづけていく杯ものみ、口のはたをてのひらでぬぐうと立ちあがって、中庭にぶらりとでていった。たばこに火をつけ、ぶらぶら...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第11話

かれはさっきから目のまえの草のうえに、二足の長靴をきちんとならべて、つくづくと見いっていた。片方はいままではいていた長靴で、片方はさっきもらったばかりの長靴だ。いままでの分は、足にぴったりとしてはき心地はよかったが、ひどい古靴で、雨がふると...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第10話

ジャッファーズ巡査は、えらい元気よくずかずかととびこんでいきました。すると旅館のうす暗い台所のすみに、なんと首のない人間が、片手にかじりかけのパンを、もう片方の手にはチーズの大きな切れをもって、ぽつんと立っているではありませんか。「あれです...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第9話

「お客さま、ちょっとうかがわせておもらい申してえだが――」ホールがまのびした声をかけた、とたん、「うるさい、でてゆけ!」すさまじい声といっしょに、ホールは胸ぐらをどーんとつかれて、ばったりたおれた。魔術師か?り、りりりーん! もうれつな勢い...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第8話

そのとき、かすかに部屋の空気がゆれて、だれかが部屋をでてゆくけはいがした。が、やはりだれもいないのだ。「金貨はなくなっていますよ」夫人がさけんだ。「うん、ろうそくだってともっている。だれかがこの部屋にいたことはたしかだよ」「こんなおかしなこ...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第7話

どんな考えでいるんだろう」村人は、主人であるホールや、おかみさんのホール夫人に聞こえないところで、よくこんなふうにひそひそと話し合っていました。ホールは、そんな村人たちのうわさ話を耳にするたび、「おい、なんとかして、あのへんな客を追い出せな...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第6話

しかしおかみさんは、その瞬間に、目玉がすっぽり抜け落ちてぽかりと二つの深い穴があいているような、男の恐ろしい顔に気づいていた。それでも、何食わぬ顔でツンと立っていた。男は傲慢(ごうまん)な態度で、「この部屋に用があったら、ノックをしてからは...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第5話

男は、かみさかれた手袋とズボンのすそを、しゃがみこんでしらべていたが、そのままくるりとむきをかえ、いちもくさんに旅館の中にかけこみ、足音もあらく、じぶんの部屋にはいってしまった。フィアレンサイドは、やっと我にかえった顔つきで、「でてこい! ...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第4話

なんだって、あんな男をとめる気になったんだろう? おれが宿屋のあるじなら、相手の顔をよくよくながめ、名まえをたしかめてから、泊めるか、泊めないか決めるね。女ってものは、よそものっていうと、とかく信用しがちなものさね。まして科学者なんていうと...
海野 十三

初級翻訳・透明人間 第3話

男は、「おっと、待ってくれたまえ、ブランブルハースト駅にある、ぼくの荷物をとりよせるようにたのんでくれたかね」「配達屋にたのんでおきましたから、あすの朝早くとどきます」「あすの朝……こん夜のうちに、とってくるわけにはゆかないかね」「ええ、だ...
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