豊島 与志雄

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豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第3話

そして、男をじっと見据えました。今度は男が、茶碗に酒を注ぎ返して一口で飲み干すと、またチラリと丸彦を睨み返しました。丸彦はもう一度茶碗を手に取ると、酒を注いで一口で飲み干し、それから男をじっと見つめました。男もまた、茶碗に酒を注いで一口で飲...
豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第2話

ガチリと、何か鍬の先にあたった感触がありました。それからまた、ガチリ、ガチリと音がして、鍬が少しも通りません。丸彦はそのあたりを掘り広げました。よく見ると、そこには大きな石のふたがありました。やっとの思いでその石のふたを取り除くと、下は石の...
豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第1話

一むかしむかし、近江(おうみ)の国、琵琶湖の西側にある堅田(かただ)という町に、お金持ちの家がありました。そこには、ふたりの兄弟が暮らしていました。兄さんは顔がとっても長かったので「堅田の顔長の長彦(ながひこ)」、弟は顔がとっても丸かったの...
豊島 与志雄

初級翻訳・銀の笛と金の毛皮 第5話

エキモスは飛び上がって喜びました。エキモスはその大切な笛を胸に抱きしめ、涙を流しました。それから、一心不乱に笛を吹きはじめました。何とも言えないほど美しい音が響き渡りました。エキモスはもう何もかも忘れて、夢中で吹き続けました。どれだけの時間...
豊島 与志雄

初級翻訳・銀の笛と金の毛皮 第4話

町の人々も、それがエキモスのおかげだと気づいていました。けれど、エキモスを神さまのお使いだと信じていたので、面と向かってお礼を言うのは恐れ多いような気がして、ただ陰で感謝し、ひそひそと噂をするだけでした。それでも、お菓子や果物などをエキモス...
豊島 与志雄

初級翻訳・銀の笛と金の毛皮 第3話

古くて汚れた服を着て、靴も履かず、帽子もかぶっていない年老いた男が、噴水の水を飲んでいました。エキモスはお腹がすいていて、喉もかわいていたので、その男に尋ねました。「その水は、誰でも飲んでいいんですか?」年老いた男は振り返って答えました。「...
豊島 与志雄

初級翻訳・銀の笛と金の毛皮 第2話

森の奥深くへ進むと、もう人が通ったような道もありません。 それに、険しい崖や急な坂道がいくつもありました。 エキモスは一生懸命に歩きましたが、やがて疲れ果てて、足が動かなくなってしまいました。 すると、大きな角を生やした鹿が、エキモスの前に...
豊島 与志雄

初級翻訳・銀の笛と金の毛皮 第1話

一 むかし、あるところに、エキモスという羊飼いの少年がいました。 父も母もないみなし児だった彼は、毎日羊の群れを見守りながら暮らしていました。青々とした野原では羊たちが楽しく遊び、野の花の間では美しい蝶がひらひらと飛び回っています。木立の中...
豊島 与志雄

初級翻訳・金の猫の鬼 第3話

森の中を夢中で駆け抜けてから、ふと振り返ってみると、海賊たちの住み家はパッと威勢よく真っ赤な炎を上げて燃えさかっていました。ピチ公は「ふう……」と大きくほっと息をつき、それから急におかしくなって、自分の大きなお腹を両手で抱え込みながら、大声...
豊島 与志雄

初級翻訳・金の猫の鬼 第2話

「あのコノオレを縛り首にしてしまえ!コノオレが、金の猫を盗みやがったんだ。ぐずぐずするな、早くしろ!コノオレをとっ捕まえて、木端微塵(こっぱみじん)に切り刻んでしまえ!」手下たちは、あまりのことにぽかんとして、あぜんとしました。たしかに金の...
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