肉屋は、そこらの一角に穴を掘り、「おお、かわいそうに、かわいそうに」と言いながら死がいを埋めてやり、その上へ土を盛り上げました。
もう一匹の犬は、悲しそうにくんくんと鳴きながら、うろうろと歩き回っていました。
その翌日、肉屋は残った犬をあの空き地へ帰さないようにして、すべてを忘れさせてやろうと思い、自分の家の裏手にきれいな藁を敷いた箱を用意してやりました。
しかし犬はどうしてもそこでは寝ず、元の空き地へ帰ってしまいます。
ときには、もらった肉をそのまま口にくわえていくこともありました。
変だなと思って次の日について行ってみると、昨日持って帰った肉は、そのまま樽の前に転がっていました。
犬は、ときどき相棒が死んでしまったことを忘れては、食べさせようと思って肉を持って帰っているようでした。
店先にいる間も、死んだ犬と同じ毛色の犬が通りかかると、急いで飛び出してジロジロと見ていますが、人違いだとわかると、ひどくがっかりした様子で、しょんぼりと引き返してくるのでした。
犬はその後、だんだんとやせて元気がなくなっていきました。
店に出てきても、前のように店番をすることもなく、何かなくしたものを探すように辺りを歩き回ったり、中身が空っぽになったような目つきをして、ぼんやりと一点を見つめていたりします。
毛色も目立って灰色になり、皮膚がたるんで、だんだんとあばら骨まで浮き出てきました。
肉屋は、そのすべてが相棒を失った悲しみからきているのだと思うと、かわいそうで見ていられませんでした。
その年の冬が近づいた頃でした。
犬はいよいよ弱りきってしまいました。
ある日、一日中ちっとも姿を見せないので、肉屋は夕方、例の空き地へ出かけてみました。すると、犬は樽の中で死んでいました。
肉屋は、その死がいをいつまでもなで続けていましたが、間もなく家へ戻り、シャベルとズックの布切れを持ってきました。
そして、さきの犬の塚の隣に穴を掘り、死がいを丁寧にズックの布で包んで中に入れ、しっかりと土を盛り上げました。
そしてシャベルで土をならしていましたが、とうとうこらえきれなくなり、声を上げて泣き出しました。
初級翻訳・やどなし犬 第4話
やどなし犬
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