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豊島 与志雄

初級翻訳・風ばか 第2話

どう言ったらいいかなあ、空気の息、神様の息、いろんなものの息……ただ息だよ」「ただ、息だけ?」「息だけだよ」「ばかな奴だな」 お父さんは声たかく笑いました。マサちゃんもお母さんもいっしょに笑いました。ガラス戸の外には、椎の葉がときどき散って...
豊島 与志雄

初級翻訳・風ばか 第1話

一 ――みなさん、人間のからだって右と左がそっくり同じだと、思っていませんか。右に目があれば左にも目がある。右に耳があれば左にも耳がある。鼻も半分、口も半分、手も足も右と左に一つずつ。真ん中からスパッと切ってみたら、右側と左側はまるで同じに...
前田 夕暮

初級翻訳・風に吹かれる木の葉 第1話

風に吹かれる木の葉前田夕暮 風に吹かれて舞う木の葉を見ていると、まるで世界が始まったばかりの太古の時代を思い出します。原始の時代の風景が、目に浮かぶようです。風に吹かれる木の葉を見ていると、永遠の時と、今この瞬間という短い時間の両方を同時に...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第7話

しかし、その親切の裏に何か別の目的が隠れているような気がして、イレンカトムは心が穏やかではありませんでした。ちょうど豊がいない間にこうなってしまったことをいいことに、何かを狙っているのではないだろうか、と思うのです。それに実際、十人いれば十...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第6話

そんな仕打ちをされながらも、イレンカトムはただ声と気配を相手に、怒ったり怒鳴ったりするだけでした。理屈を言って追い払おうとしても、相手はなかなか負けずにやり返してきます。こうなっては、彼も何とかしなければいられません。一生懸命になって、これ...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第5話

知らず知らずのうちにブツブツと独り言をこぼしながら、あちらこちらと歩き回る。そして歩き回りながら、眠りもしないでこんなことをしている自分は普通ではないな、と思い始める。一体どうしてこうなってしまったのだろう?彼は炉の火をかき立てて明るくした...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第4話

もうかなり長い間、同じ狭苦しい町で、同じような人間の顔ばかり見て、同じような道楽をしていても、何の刺激もないからです。場所が変われば、また違った面白い目にも遭うだろう。彼の行動の第一の動機は、ただこれ一つなのです。けれども、彼の心は、単純に...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第3話

彼にはどうしても、ペケレマットの最期の願いによって、豊が自分の元へ授けられたようにしか思えないのです。そして、今を生きる自分と、霊となったペケレマットとの愛情が、ただ豊という存在の上にだけ注がれ合い、あんなにも美しく生まれてきたのではないか...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第2話

笑うたびにキラキラと輝く白い歯、丸くて小さな帽子の下で、すばしっこく動く目の素晴らしさ。見ているうちに馬車はだんだんと近づいてきます。そして、彼の立っているところから、一、二町(約100〜200メートル)の距離まで近づいたときのことです。そ...
宮本 百合子

初級翻訳・風に乗って来るコロポックル 第1話

一 彼の名は、イレンカトムといった。「公平な裁き手」という意味を持つその名は、昔から部落でもかなりの権威ある家系にのみ付けられる特別なものだった。だからこそ、彼はその名を受け継ぐと同時に、代々守り抜かれてきた大切な財産もまるごと引き継ぐこと...
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