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宮沢 賢治

初級翻訳・猫の事務所 第3話

「パン、ポラリス、南極探険の帰途、ヤップ島沖にて死亡。遺骸は水葬せらる」一番書記の白猫が、かま猫の原簿を勝手に読んで答えていました。かま猫は、もう悲しくて悲しくて、ほっぺたのあたりがすっぱくなって、頭の奥がキーンと鳴るのをじっとこらえながら...
宮沢 賢治

初級翻訳・猫の事務所 第2話

決闘を……」「ジャラジャラジャラジャラン!」事務長が大きな声で叫びました。これは、決闘を始めさせないように、わざと邪魔をしたのです。「いや、喧嘩するのはよしたまえ。かま猫君も虎猫君に食わせようとして拾ったんじゃないだろう。それから今朝言うの...
宮沢 賢治

初級翻訳・猫の事務所 第1話

軽便鉄道の駅の近くに、「猫の第六事務所」がありました。ここは、猫たちの歴史や地理を調べるための特別な場所です。ここで働く書記たちは、みんな黒いサテンの短い服を着ていました。みんなからとても尊敬されていたので、もし誰かが仕事をやめることになる...
かしわばやしの夜

初級翻訳・かしわばやしの夜 第3話

「第八位、ブリキのメダル!」「次はわたしがやります!」さっきの木の隣から、また一本の柏の木が飛び出しました。「よし、はじめ!」「清作が 納屋にしまった葡萄酒は 順序通りに みんなはじけてなくなった」「わっはっはっは、わっはっはっは、ホッホウ...
かしわばやしの夜

初級翻訳・かしわばやしの夜 第2話

もう九本切る分は、とうに山主の藤助に酒を買ってあるんだ」「それなら、なぜわしには買わんのだ」「買ういわれがない」「いや、ある。たくさんあるんだ」「ない!」画家が顔をしかめて、手をせわしなく振って言いました。「また始まった。まあ、ぼくがいいよ...
かしわばやしの夜

初級翻訳・かしわばやしの夜 第1話

清作は、「さあ、日が暮れるぞ、日が暮れるぞ」と自分に言い聞かせながら、ヒエの根元にせっせと土を寄せていました。そのときにはもう、銅色に輝くお日さまが、南の山のすそ、群青色の場所へと沈んでいき、野原は急にさびしくなって、シラカバの幹なども、ま...
宮沢 賢治

初級翻訳・山男の四月 第2話

よしよし)と考え直して、腹に力を入れて答えました。「俺は、魚屋の前から来たんだ」すると外から支那人が、噛みつくような勢いで怒鳴りました。「声が大きすぎます。静かにするよろしい!」山男はさっきから、この支那人の態度がむやみにしゃくに障っていた...
宮沢 賢治

初級翻訳・山男の四月 第1話

山男は、金色の目を皿のように大きく見開き、背中を丸めながら、西根山(にしねやま)のヒノキ林の中をウサギを狙って歩いていました。ところが、ウサギは捕まえられず、代わりに山鳥が捕まりました。それは、山鳥がびっくりして飛び上がったところに、山男が...
宮沢 賢治

初級翻訳・狼森と笊森、盗森 第3話

みんなはあっけにとられながらも、ガヤガヤと家に帰ってみると、粟はちゃんと納屋に戻っていました。そこでみんなは、笑いながら粟餅を作って、四つの森に持っていきました。中でも盗森には、一番たくさん持っていきました。その代わり、少し砂が混じっていた...
宮沢 賢治

初級翻訳・狼森と笊森、盗森 第2話

そこでみんなは、子どもたちの手を引いて、森を出ようとしました。すると森の奥の方から、狼たちが「悪く思わないでおくれ。栗だのキノコだの、うんとごちそうしたんだぞ」と叫ぶのが聞こえました。みんなは家に帰ってから粟餅(あわもち)を作って、お礼とし...
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