吉川 英治

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第139話

「あッ!」 ドボーン! ……とスイカほどの大きさの黒い物体が落ちた。一度深く沈んでから、ボカッと泡立つ水面に浮きあがってきたものを見ると、それは若い武士の生首だった。胴のない生首は、まるで水中で立ち泳ぎをしている人間のようにグルリとまわって...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第138話

笛が――咲耶子の白い手に高く掲げられ、横に縦にと動いています。合図なのでしょう!それを見ると、少女の一人が何かを叫びました。それに応えて、あちらこちらの家から、ワラワラワラと少女たちが駆け出してきます。みんな同じ下げ髪の少女、みんな同じ年頃...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第137話

だが空にもクロの姿は見えなかった! 裏切り者の黒川八十松め、あれが自分によって自在に操られる飛行の道具だと知り、逃がしたのだ! 鎖を切って空へ放してしまったのだ。人を呪わば穴二つ。あの猛禽の鎖を切った三人は、立ちどころに、自分たちが放した鷲...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第136話

八通の間道をさまよって、小太郎山のふもとへ逆戻りをしてウロウロしていた伊部熊蔵と小頭の雁六、そのほかの鉱山掘夫たちを連れて、地脈を探り方向を案じて、ついにこの城塞の心臓部を突きとめてきたのです。「しまった!」 と叫ぶ間もなく、もう見ている間...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第135話

竹童(ちくどう)を残して、陣馬ヶ原のお花畑の危険を逃れてきた咲耶子(さやこ)は、砦の奥郭(おくぐるわ)へと飛び降りるなり、狂ったように櫓番(やぐらばん)や武者だまりの侍たちへ声をからして呼びかけましたが、誰一人として「オオ」と返事をする者は...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第134話

「水晶! 水晶!紫水晶は お染にやンべお染かんざしに 挿すよにサ黒い水晶は 婆さまにやンべ婆さま磨いて お寺にあげて文殊菩薩の 入れ黒子」「なんだ、あいつは」 と、びっくりして振り返ったのは、別のことでぼうっとしていた金鉱山掘夫や熊蔵たち。...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第133話

手元へ引き戻し、穂先を短く構え直した神保大吉は、咲耶子が右へ動けば右へ、左へ動けば左へと、じりじりと追い詰めていきました。その間に、黒川八十松、団軍次郎、その他の者たちが十二本の槍を揃えて、「ドッ」と咲耶子の前後から襲いかかります!ああ、も...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第132話

山掘夫たちは、山そのものにもてあそばれてしまったのです!その時、穴に入る前はらんらんと輝いていた太陽は、もう西へ回って、朱色の盆のように赤くくすんでいました。毒水に酔う砦一その高原の一角に立てば、群山をめぐる雲の海に、今まさに沈もうとしてい...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第131話

さあ、一服吸ったら八方へ手を分けて、まず第一に間道らしき洞穴を探してみろ」「へえ、洞穴を」「うむ、洞穴だ! 必ずどこかに頂上へ抜けられる穴口があるはずだ」「そしてそれをどうするんで?」「いずれ要所要所には、石扉を立てたり、岩石や組木を組んで...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第130話

若侍たちは、その親子を容赦なく引きずり回し、大久保石見守が酒宴の真っ最中である庭先へと突き出しました。「なんだ、その薄汚い人間は?」石見守は、近習に酒を注がせながら、とろんとした眼で二人を見下ろしました。若侍は膝をついて報告しました。「こい...
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