宮沢 賢治

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〔「銀河鉄道の夜」初期形一〕

初級翻訳・〔「銀河鉄道の夜」初期形一〕 第1話

そして、青いオリーブの森が、見えない天の川のむこうで、しんみりと光りながらだんだん後ろの方へ遠ざかっていき、そこから流れてくる不思議な楽器の音も、もう汽車のひびきや風の音にかき消されて、聞こえなくなってしまいました。「あの森は、きっとハープ...
『注文の多い料理店』新刊案内

初級翻訳・『注文の多い料理店』新刊案内 第1話

イーハトヴというのは、一つの土地の名前です。どうしてもその場所を知りたいと思うなら、それは、大きなクラウスや小さなクラウスたちが畑を耕していた野原や、少女アリスが迷い込んだ鏡の国と同じ世界の中にあると考えてください。テパーンタール砂漠のはる...
『注文の多い料理店』序

初級翻訳・『注文の多い料理店』序 第1話

ぼくたちは、氷砂糖なんてひとつももっていなくても、きれいにすきとおった風をたべたり、桃色のうつくしい朝の光をのむことができます。またぼくは、畑や森の中で、ひどいボロボロのきものが、いちばんすばらしいビロードやラシャや、宝石がついたきものに変...
『注文の多い料理店』広告文

初級翻訳・『注文の多い料理店』広告文 第1話

イーハトヴというのは、あるひとつの地名です。もしもその場所をどうしても探そうとするなら、それは、大小のクラウスたちが畑を耕していた野原や、少女アリスがたどり着いた鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠のずっと北東、イヴン王国の遠い東のほう...
ツェねずみ

初級翻訳・ツェねずみ 第2話

それに、さわるのさえ汚いもののように、みんなから思われています。ですから実は、ねずみ捕りのほうは人間よりも、むしろねずみたちの方に同情を感じていたのです。けれども、たいていのねずみは怖がって、ちっともそばへ寄ってきません。ねずみ捕りは、毎日...
ツェねずみ

初級翻訳・ツェねずみ 第1話

ある古い家の、真っ暗な天井裏に、「ツェ」という名前のねずみが住んでいました。ある日ツェねずみは、きょろきょろとあたりを見まわしながら、床下の通路を歩いていると、向こうからいたちが、何かいいものをたくさん抱えて、風のように走ってきました。そし...
やまなし

初級翻訳・やまなし 第1話

小さな谷川の底を映し出した、二枚の青い幻灯です。一、五月 二匹の蟹の子供たちが、青白く澄んだ水の底で話し合っていました。「クラムボンが笑ったよ」「クラムボンは、かぷかぷ笑ったよ」「クラムボンは跳ねて笑ったよ」「クラムボンは、かぷかぷ笑ったよ...
いてふの実

初級翻訳・いてふの実 第1話

空のてっぺんは、凍りつくほど冷たくて、まるでカチカチに焼き入れられた鋼のようです。そして、夜空には星がいっぱいです。けれども、東の空はもう、やわらかな桔梗(ききょう)の花びらのように、不思議な光を放ち始めました。明け方の空の下、昼間に飛ぶ鳥...
いちょうの実

初級翻訳・いちょうの実 第1話

空のてっぺんは、凍りつくほど冷たくて、まるでカチカチに焼き入れられた鋼のようです。そして、そこには星がいっぱい輝いています。けれども、東の空はもう、やさしいキキョウの花びらのように、あやしげな底光りをはじめました。その明け方の空の下、昼間に...
宮沢 賢治

初級翻訳・雁の童子 第3話

須利耶さまは気づかないふりをして、写経を続けておいでです。「まあ、お前はどうして今ごろ帰ってきたの?」「私、もうお母さんと一緒に働こうと思うんだ。勉強している暇なんてないんだよ」お母さまは、須利耶さまのほうに気兼ねしながらそう言いました。「...
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