山本 周五郎

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山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第4話

学堂でふまじめなことをしたら、このくらいの罰では済まないと思え!」そんなわけで、兄の松太郎といっしょに、上屋敷の中にある藩の学校へ通うことになったのである。しかし学堂での日々は、茅野先生を相手にしていた時ようにはいかなかった。生徒は七歳から...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第3話

悠二郎はなんだか張合いのないような気持ちで、何度もふんと鼻を鳴らした。彼の新しい生活が始まった。その中で参ったのは、行儀作法というやつと学問だった。一日中着物を着て、袴をはき、小さくはあるが刀を差して、歩くときも座るときも、姿勢をきちんと正...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第2話

寝たと思ってちょっと離れると、いつの間にかもう土間へおりて下駄をしゃぶっているんだから、ほんとにこの子には手を焼くよ」ハイハイを始める時期というのは、たいていの子から目が離せないものだ。しかし、悠二郎の場合はとくべつだったらしい。乳母が言う...
山本 周五郎

初級翻訳・桑の木物語 第1話

一その藩にずっと伝わっている「杏花亭筆記(きょうかていひっき)」という古い本には、土井悠二郎(どいゆうじろう)という人物について、大体次のようなことが書かれています。「土井右衛門、名は悠二郎。忠左衛門茂治(ちゅうざえもんしげはる)の次男とし...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第12話

小出のお父さんの話しぶりを見ていると、どうもそんな雰囲気だったよ。あの父と子のあいだでは、どうやら平五の勝ちみたいだな。いや、小出一族をひっくるめて相手の勝ちと言ったほうがいいかもしれないな。あの平五のやつ、とにかく自分のやりたいことを最後...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第11話

わが意を得たという口ぶりで、及ばずながら一切の世話をしよう、とにかく上がって、祝いに一杯やってくれとすすめた。平五はあとで来ると断り、細江の住居を訊いた。清兵衛はまた膝を叩き、そうくるだろうと思ったと言って、向こう路次の木戸から入って左の五...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第10話

おれはすべてを知っている、きさまがこれまでしてきた悪事を何もかも把握しているんだぞ! おれは目が見えないわけでも、耳が聞こえないわけでもないんだ!」「私はいったい、なにをしたと言うのです」「平五さん……」と母親が悲しそうに言った。「おまえは...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第9話

それではまるで、鳶に油揚げをさらわれるようなものだ。「まったく、鳶に油揚げをさらわれるようなものだぞ」と歩きながら彼は呟いた、「そううまくいくものか、冗談じゃない」細江にわけを話そう、と彼は思った。清鑑堂へ売りに出しに来たとき、あれは正宗だ...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第8話

よせばいいのにさ、ろくな刀が集まるわけじゃなし、よせばいいのにおやじは喜んで連れて行ったよ」 平五はうめいた。「どうしたんだ」と助三郎が言った、「どうかしたのかい」「よけいなおせっかいだ」と言いながら平五は立ちあがった、「くそうくらえ」「な...
山本 周五郎

初級翻訳・末っ子 第7話

「鞘もまだ十分に使えるし、刀の柄についている笄(こうがい)や目貫(めぬき)なんかは、それなりの値段で売れるでしょう。もういっそ、全部バラバラにして売り払っちまおうかと思っているんですよ」 すると、平五はふいに「ちょっと待て」と言って、その刀...
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