泉 鏡花

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木の子説法

初級翻訳・木の子説法 第5話

おからに煮込んだ魚の剥き身は、自分の小指でも食いちぎりそうなほどの勢いで、私も二つ三つおすそわけにいただいて食べたし、みんなも食べたんですから、きっとその※(魚)のせいです。何ヶ月ぶりかの魚だったから、大人たちはみんな坊やに譲ったんです。そ...
木の子説法

初級翻訳・木の子説法 第4話

学生の癖に、悪く、商売人じみた、はなを引く、賭碁を打つ。それじゃ退学にならずにいません。佐原の出で、なまじ故郷が近いだけに、外聞かたがた東京へ遁出した。姉娘があとを追って遁げて来て――料理屋の方は、もっとも継母だと聞きましたが――帰れ、と云...
木の子説法

初級翻訳・木の子説法 第3話

……同じ少年のせいで、ほんの少しの間に、一度は膝をまたがれ、一度は脇腹を小突かれ、三度目には腰を蹴飛ばされてしまった。彼はものすごい勢いで、何度もトイレ(お茶飲み所)を行ったり来たりしていたのである。そんな様子を見て、一樹が、例の指を胸につ...
木の子説法

初級翻訳・木の子説法 第2話

」 私は思わずクスリと笑った。 扇子屋さんの真上の鴨居(かもい)には、今日の番組表が大書してある。 私がざっと読み取ったのは、先ほどの塀の下ではなく、まさしくここでの演目のことだ。合わせて五番。中に能の仕舞(しまい)も混ざっていて、序盤から...
木の子説法

初級翻訳・木の子説法 第1話

――ハモあみだ仏、はも仏ととなえれば、フナらくの世に生まれ、コチへコチへと請じられ……仏と雑魚して居るべし。されば……ひだいかめらいし、真経(まきょう)には、タコとくあのくタダ――……時節(じせつ)の柄(がら)をわきまえるがいい。お蕎麦の値...
卵塔場の天女

初級翻訳・卵塔場の天女 第24話

心の底からのせつない涙だったから、なんだか着換えるのがもったいなくて……」私はあやうくその背中にそっと手を伸ばしそうになった。翌日の朝、汽車で出発する時、雪代さんがひとりで衣の衿元(えりもと)をきちっと正して見送ってくれた。もう一人、中学の...
卵塔場の天女

初級翻訳・卵塔場の天女 第23話

もう一度あの舞台に立って、うぬぼれて人間界に舞い降りた天人たちを、地獄、餓鬼、畜生、果ては三途の川のそのまた底の奈落へと叩き落としてやるのさ……なんて大口を叩きながらも、実のところ自ら命を絶つほどの覚悟すらできない、こんな卑怯者だからこそ、...
卵塔場の天女

初級翻訳・卵塔場の天女 第22話

さすがは由緒ある流儀の御威光ってやつだな」「そういえば、何がそんなに悔しくって、あのきれいな花瓶を打ち砕いたりなんかにしたんですか?」「もう見てきたのかい、仕事が早いなあ、まるで天眼通(すべてを見通す目)みたいだ。……あれはね、何、最初から...
卵塔場の天女

初級翻訳・卵塔場の天女 第21話

――一体全体、女面(おんなめん)の目の穴から外の世界が見えるわけがないのに、なぜか(※指が複数くっついている奇形を指して)駢指(せんし)の人が目の前にすっと立っているような気がしたんだよ」「そう、まさにそのことですよ。(余計な親戚や血縁なん...
卵塔場の天女

初級翻訳・卵塔場の天女 第20話

私たちがお豆腐や剥き身を買うみたいに、なんだか普通に使っていらっしゃるようだけど、その塗り物といい、蒔絵の美しさといい、形といい、ものすごい美術品なんだそうですねえ」「へーい、なるほど」「フランスのパリの、何とかっていう貴族のお屋敷の応接室...
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