豊島 与志雄

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シロ・クロ物語

初級翻訳・シロ・クロ物語 第4話

外にとびだしたシロとクロが、すかしてみますと、その時、むかうに立ちどまつてこちらをうかゞつてゐたらしいあの男が、くるりとむきなほつて、ゆつくりあるきだしました。シロとクロに気がついたのでせうか、それはわかりません。なにか考へるやうにうなだれ...
シロ・クロ物語

初級翻訳・シロ・クロ物語 第3話

それまで、木のかげでハラハラして見ていたポン公は、もうしかたなく、子どもたちといっしょに、知らん顔をして駆け出してきました。男は子どもたちの肩をたたきました。「おお、よく来てくれた!あれ見ろ、白猫と黒猫が、この木にのぼってるだろう。どうも気...
シロ・クロ物語

初級翻訳・シロ・クロ物語 第2話

「きっと、ごまかしたんですよ」とシロもクロも言いました。「なるほど、それにちがいない」とお爺さんは言いました。「箱をとりのける時にごまかしたんだ。手つきにあんまり見なれない、あやしいところがあった。あれは、どうも、悪いやつらしい……」そして...
シロ・クロ物語

初級翻訳・シロ・クロ物語 第1話

一 公園の占い師 南洋(なんよう)の、とある半島の港町です。 太陽がカンカンにてりつけていて、暑いけれど、風はさわやかです。 木々がこんもりとおい茂り、ヤシやシュロがまるで日傘(ひがさ)のように大きな葉をひろげていて、いろんな花がさきほこっ...
ジャングル頭

初級翻訳・ジャングル頭 第2話

かつての彼は、頭の中が戦争のことでいっぱいだったことでしょう。けれど彼は、いつの間にか脳みそに生い茂っていたそのジャングルを切り開き、さわやかな風を吹き通らせて、日々の仕事の中に自分の喜びを見出したのです。戦争のことなんてもうたくさんだ、と...
ジャングル頭

初級翻訳・ジャングル頭 第1話

ジャングル頭豊島与志雄夜の東京の、新宿駅のまわりや、上野の不忍池(しのばずのいけ)のあたりは、一種のジャングルみたいな場所だと言われている。お酒に酔った人、いかがわしい連中、夜の街の人々といった、いろんなモンスターたちがうろうろしていて、普...
シャボン玉

初級翻訳・シャボン玉 第3話

そのシャボン玉には、太陽の光がキラキラと美しく反射していました。いよいよ最後の芸にとりかかり、まずは立派な「竜」の姿を吹き上げ、次に優雅な「フェニックス(鳳凰)」の姿を吹き上げました。竜と鳳凰が空中でからまり合いながら空高く飛んでいくのを、...
シャボン玉

初級翻訳・シャボン玉 第2話

三 ハボンスはうれしくてたまりませんでした。 自分の望む時にはいつでも、死んだ子どもの姿が見られるのです。 そのうえ、どうせもう死んでしまおうと思ったくらいですから、長く生きていたいという欲もありません。だから、ムクロジの実があるかぎり見事...
シャボン玉

初級翻訳・シャボン玉 第1話

一 むかし、トルコに、ハボンスという手品師がいました。 三角の帽子をかぶり、赤や青の服を着て、一人の子どもを連れて、田舎の町々をまわっていました。 そして町の広場にむしろを敷いて、いろんな手品を見せたのです。 逆立ちや、棒のぼりや、金輪(か...
ふしぎな池

初級翻訳・ふしぎな池 第5話

太十の話を聞いて、白髪のご隠居は言いました。「そして、その大亀が口をきくというのは、本当かね。」「本当ですとも。わたくしが、はっきりとその声を聞きました。」「なるほど、それも面白い話だ。お前の良心が口をきいたか、大亀が口をきいたか、まあ、ど...
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