野村 胡堂

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幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第10話

憎い親父だが、徳川家にとっては無二の忠臣だ」天魔太郎は裾を返すと、サッと飛び降りました。「待て、待て!」「彦左、しばらくその白髪の首を預けておくぞ」天魔太郎は、目ばかりパチパチさせている彦左衛門を後ろに残して、夏の夜の闇の中に姿を消してしま...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第9話

天魔太郎は改めて、妹の月子、泉田筑後(いずみだちくご)の娘であるお千代、小僧の虎吉、野州の熊五郎を集めて、これからの活動について相談しました。「父上、駿河大納言・忠長(ただなが)卿の志を継いで、将軍・家光に思い知らせるためには、八重の守りを...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第8話

あっしは、出雲様の実家が仲通りの呉服屋『増田屋』だと聞き出し、それとはなしに見張っていると――」「出雲殿がどうした? あれは亡き母上の縁故の方で、千代田の大奥のことを何かとこの駿河太郎に教えてくれた恩人だが」天魔太郎も思わず乗り出しました。...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第7話

「次郎坊、後を頼むぞ!」大猿に追手を食い止めさせ、天魔太郎は印を結び、ムラムラと湧き立つ霞(かすみ)の中へ、虎吉と熊五郎を誘って姿を消してしまいました。追いすがる二手、三手の組子たちは、思わぬ大猿に道を塞がれてたじろぎ、その目の前には夜霧の...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第6話

その隙に、利口な大猿の次郎坊は、山野で育ったおかげで夜目も利くのを幸いに、太田原伝三郎をはじめとする四人の武士をめちゃめちゃに引っ掻き回しました。そして、彼らの髷(まげ)の根元に縄を通して柱に縛り付けると、太田原伝三郎の腰から大牢のカギをひ...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第5話

「これは大変だ。誰かに様子を聞きたいが――あ、お千代さんはダメだ、顔を見られるとまずい」天魔太郎は駆け出そうとするお千代を引き留めて、あたりの様子を見ているうちに、反対の路地の奥からこちらを覗き込んでいる十二、三歳ほどの小僧の姿を見つけまし...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第4話

「道人さま、こんなところに住んでいては、何かとご不自由ではありませんか?」太郎が不思議がると、道人はこう言いました。「いやいや、私にはとても良い友だちがいるのだよ。紹介してやろう」道人はそう言いながら、あるリズムで四つ五つ手を叩きました。す...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第3話

「ではせめて、鈴ヶ森の仕置場で私を救ってくださった、あの不思議な術は何と申すものでしょうか。できれば、その術を私ども兄妹に教えてくださり、この大望を遂げさせてくださいませ。お願いでございます」兄の駿河太郎と妹の月子は声を揃えて、道人の膝にす...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第2話

申すまでもなく、当上さま(家光)の血を分けた兄弟であり、将軍の跡継ぎを争ったと思われ、乱行の悪名を負わされて六年前の寛永十年、高崎城に幽閉されて、肉親の兄である家光将軍から、無残な死を賜りました」「それが、それが、お前たちの父上か」「兄、駿...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第1話

将軍家光を狙う刺客 駿河太郎は、作戦通りに千代田城(ちよだじょう)本丸の石垣の陰に身を隠しました。時は寛永十六年(西暦一六三九年)三月。今から三百十二年も前の、まるで夢の中のようにかすんだ、うつくしい春の真夜中です。西の丸の裏側から、紅葉山...
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