野村 胡堂

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楽聖物語

初級翻訳・楽聖物語 第3話

二度も死にかけるような病気に倒れ、新聞記者や三流の文士、音楽批評家、そしてわがままな貴婦人たちを相手に、二十年以上もの間、戦い続けなければなりませんでした。彼にとって真の天職であり、永遠の命が吹き込まれた芸術「聖譚曲(オラトリオ)」にたどり...
楽聖物語

初級翻訳・楽聖物語 第2話

ヘンデルの命は本当に髪の毛一重のところで助かり、次の瞬間、二人は怒りも忘れてお互いにぎゅっと抱き合ったのです。争いの原因も、お互いへの憎しみも、死のきわどい体験を通り越したことで、春の日の霜のようにあっさりと消えてなくなりました。その次にヘ...
楽聖物語

初級翻訳・楽聖物語 第1話

【序】私は、自分自身のやり方で、日頃から尊敬している大音楽家たちの物語を書き上げました。それは、あくまで私の人生を通して見てきた大作曲家たちの姿であり、私が抱く尊敬や愛情、驚き、そして時には少しばかりの批判も、一切隠すことなく、思うがままに...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第17話

この心外道人の戒めには、深い意味があるのじゃ。百人の命を救うという大望を果たせば、自然と心も和らぎ、人を殺すだの敵を討つだのといった殺伐とした気持ちはなくなるだろうという、言外の意味もあるのじゃ」「……」「塙三郎丸も同じこと。さあさあ、その...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第16話

「無礼者め、なんということをいたすのだ。近藤、水野、加賀爪、控えておらぬか!」一人ひとりの名前を呼び上げ、頭ごなしに叱り飛ばすのです。「どうも変だぞ」「本物の上様ではないのか?」なだれ込んだ近臣たちも、自分たちの無様な様子と、家光の落ち着き...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第15話

そんなことであたら命をすてるより、生きながらえて腕をみがき、きょうのはじをそそぐ気はないか」 猫間犬丸は、熱心な調子でこういいきるのです。まったく、武げいや幻術に負けて、いちいち腹を切るのはばかげた考えで、体面にこだわらずに、家と禄をすてて...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第14話

「おうッ」 と見ると、太郎は一刀を頭上たかくかざして、このふしぎな襲撃にそなえます。二合、三合、五合とはてしもなく、はげしいあらそいがつづきました。さいごには二条の太刀がヘビのようにからみ合ったまま、火のでるようなはげしいツバぜりあい、太郎...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第13話

尾州の名剣士・青柳又八郎。腕前は明らかに天魔太郎を上回っていましたが、天魔太郎に「飛龍剣」という投げ太刀の妙技があることに気づかなかったのが、何よりの大きな手落ちでした。最後まで刀を抜かずにその術を隠し通した天魔太郎に、見事な勝利を譲る形と...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第12話

まだ前髪を立てていて、二本の刀を差しているところを見ると武家の子供に違いありませんが、木綿の黒紋付に白小倉の袴という、ずいぶんと無造作な出で立ちでした。そんな話をしているところへ、幕を掲げてスッと入ってきた少年がいました。目の覚めるような美...
幻術天魔太郎

初級翻訳・幻術天魔太郎 第11話

「あれ――ッ」 ふたりの若い召使は、武家の娘ではあり、御殿勤めで武術の心得もあり、肝もすわっておりましたが、とつぜんのできごとに仰天して若い娘の臆病さにかえり、ただもうあわてふためくばかり。その間に部屋じゅうのあらゆる物が、つぎからつぎへと...
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