「まてったら!
ちきしょう!
まったく、逃げやがった!
この、しっぽのちょんぎれ野郎め!」
もみの木を切りたおすと、それをうちへ持って帰って、飾りつけをするのです。
「ああ、あのころは楽しかったな……」
ユウコフはしみじみと思いました。
お母さんもまだ生きていて、だんなさまのところで働いていたんだ。
おじょうさんのオルガさんは、いつもユウコフにお菓子をくれました。
おじょうさんはヒマなときには、ユウコフに読み書きだの、百までの計算だの、しまいにはダンスまで教えてくれました。
ユウコフは何度も何度もふかいたため息をついて、手紙を書きつづけました。
「だんなさま、どうかぼくをひきとりに来てください。
キリストさまのおねがいにかけて、きっと、きっと来てください。
それから、ネリイと、目の見えないグレゴリイと、馬車屋さんによろしくね。
さようなら。
ユウコフより。
本当ですよ、だんなさま、絶対ですからね!」
書きおわると、ユウコフは紙を四つに折って、このあいだ買っておいた封筒に入れました。
そして、しばらく考えてから、あて名を書きました。
「いなかの、
コンスタンチン・マカリッチの、だんなさまへ。」
書きおわると、ユウコフはうれしくてたまらない様子で、帽子をかぶり、上着も着ないままスリッパをつっかけて、外へかけだしました。
手紙の出し方は、このあいだお肉屋さんのおじさんに教えてもらったから、ばっちり知っています。
郵便箱に入れさえすれば、それだけでいいんだよっておじさんが言っていました。
そうすれば、よっぱらいの郵便屋さんが、鈴のついた馬車に乗せて、世界の果てまでだって持って行ってくれるんだって、おじさんは言っていました。
ユウコフはどんどん走って、手紙を郵便箱に入れてきました。
だけど、あんな宛名で、本当にマカリッチさんのところに届くでしょうか?
それから一時間たったときには、親方ももう帰ってきていて、ユウコフもぐっすり眠っていました。
もう夜中のすぎです。
眠っているユウコフの心は、明るい希望でピカピカと光り輝いていました。
ユウコフの夢の中には、大きなストーブのある、だんなさまのおうちの台所が見えました。
ストーブの上にはだんなさまがちょこんとのっかって、足をブラブラさせながら、ユウコフの手紙を料理人たちに読んで聞かせています。
その下では、カシュタンカとエールが、しっぽをブンブンふっていました。
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