2026-08

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楠山 正雄

初級翻訳・鉢かつぎ 第3話

鉢かつぎはそれを見て涙を流しながら、これも亡くなったお母さまが、いつも長谷の観音さまを熱心に信じていたおかげに違いないと思い、もう一度西の方を向いて観音さまを拝みました。四こうなっては、もう「嫁合わせ」を恥ずかしがって屋敷を抜け出す必要もあ...
楠山 正雄

初級翻訳・鉢かつぎ 第2話

「参ってみますと、みんな隠れてしまいまして、あとに一人、このような不思議な姿の者が残っておりました」そう言って、鉢かつぎを中将にお目にかけると、中将は彼女を見て言いました。「まあ、その鉢を取ってやれ。一体誰なのか顔を見てやろう」家来たちが二...
楠山 正雄

初級翻訳・鉢かつぎ 第1話

一 むかしむかし、河内国(今の大阪府)の交野という所に、備中守実高というお侍が住んでいました。広い田んぼやたくさんのお金を持ち、美しい奥さんもいて、何不自由のない幸せな暮らしをしていましたが、たった一つだけ、どうしてもかなわない願いがありま...
円城 塔

初級翻訳・鉄道模型の夜 第4話

そういえば以前、鹿児島へ取材に行ったときにも林芙美子の像に出会った記憶がようやく蘇ってきた。あちらは確か、立ち姿だったのではないだろうか。なぜ鹿児島に? と思うかもしれないが、林芙美子の本籍地がそこであり、母親の故郷だったか、何かそんな理由...
円城 塔

初級翻訳・鉄道模型の夜 第3話

鉄道沿いの道は平坦ですが、線路を北へ越えると急激に坂が立ち上がり、南へ向かえば商店街と海が広がり、その先には四国へ続く道が延びていきます。彼がまず把握した町の形はそのようなもので、それはそのまま箱庭のプランになっていきました。彼は最初に四角...
円城 塔

初級翻訳・鉄道模型の夜 第2話

専用のピーラーを試したこともありますが、包丁で切った方が好みに合いました。レモンの皮に刃を当てて、果肉に当たらないように削ぎ続けると、おおよそ六片くらいがとれます。皮は多めがよいとはいえ、二片もあれば十分です。さて、残りの皮をどうするか。あ...
円城 塔

初級翻訳・鉄道模型の夜 第1話

彼の趣味は「箱庭づくり」でした。鉄道模型はそのあとからついてきたものです。だから最初は、小さな庭でも家のミニチュアでも、何でもよかったのです。といっても、押絵を風呂敷に包んで旅をするような風流な趣味があるわけではなく、小さく作ることに「持ち...
江戸川 乱歩

初級翻訳・鉄塔の怪人 第27話

明智は四方の壁を叩き回って、秘密の通路でもあるのではないかと調べましたが、別に怪しいところもないのです。そのとき、天井の方に妙な物音がしました。「さては」と思って懐中電灯で照らしますと、天井からドシンと恐ろしい音を立てて、一匹の巨大なカブト...
江戸川 乱歩

初級翻訳・鉄塔の怪人 第26話

二人の少年は、こうして、高い鉄塔の屋上に閉じ込められてしまったのです。「小林さん、どうすればいいの? ぼく、怖いよ……」賢二君は、今にも泣き出しそうな顔をして、小林君にしがみつきました。「大丈夫だよ。僕たちはまだ負けたわけじゃない。きっと、...
江戸川 乱歩

初級翻訳・鉄塔の怪人 第25話

小林君は、賢二少年をかわいそうに思って身代わりを務めていたのですが、十二号の身のこなしが、かよわい賢二君にしてはあまりに上手すぎたので、替え玉がバレてしまったのです。そのうえ、隠れていた賢二少年まで見つかっては、もうどうすることもできません...
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