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宮本 百合子

初級翻訳・雨と子供 第2話

そこのがらんとして寂しい地面の様子が、子供の心を強く惹きつけた。 どうしてここだけ、こんなに何もないのだろう。――ある日、子供は畑から、きっと青紫蘇(あおじそ)の芽に違いないと見定めた草を十二本抜いてきた。 それから、その空き地のちょうど真...
宮本 百合子

初級翻訳・雨と子供 第1話

一 ぼんやりと曇っていた庭の景色が、雲の動きに合わせて、急に立体的に浮かび上がってきました。 近くの黒ずんだ垣根、少し離れたポプラの木、そしてその奥にある竹林。 遠くや近くにあるものたちが、ひとつの絵のような景色として、はっきりと感じられま...
素木 しづ

初級翻訳・雛鳥の夢 第2話

しかし、夕方になっても雛鳥が帰らなかったとき、その飼い主のことを考えると、小石が何気なく雛鳥の眉間に落ちたことは、自分の意志でも力でもなく、宇宙の不思議な出来事だったとしても、あまりに美しいリボンを頭につけることさえ学校の先生に「罪悪だ」と...
素木 しづ

初級翻訳・雛鳥の夢 第1話

まち子は、焼けるような暑さに耐えかねて、縁側からすべるように降りると、高い縁の下の柱の影にわずかな日かげを見つけて、その中に小さくうずくまりました。そしていつものように、うっとりとしたまなざしで、明るい庭に植えた黄色や赤の、小さな瑪瑙(めの...
牧野 信一

初級翻訳・雛菊と雲雀と少年の話 第1話

ある庭のすみっこに、一本の雛菊(ひなぎく)が咲いていました。花壇の中には、華やかで立派な牡丹(ぼたん)や美しい百合(ゆり)などが、誇らしげに咲いていましたが、雛菊はそうした花々を見ても、少しもうらやましいとは思いません。毎日をとても幸せに過...
泉 鏡花

初級翻訳・雛がたり 第2話

浅間神社で、釜で甘酒を売っている茶店に休んだ時、鳩と一緒に日向ぼっこをしているお婆さんに、「桜の咲く頃になると、阿部川の川原で地元の人が毛氈を敷き、重箱のお弁当を広げて、花の酒宴をするんですよ」と聞きました。――阿部川への道を尋ねたついでに...
泉 鏡花

初級翻訳・雛がたり 第1話

お雛様といえば、男雛と女雛は言うまでもありません。桜の雛、柳の雛、菜の花の雛、桃の花の雛。白と赤、紫色のすみれの雛。田舎には、つくしや鼓草(つづみぐさ)の雛もあります。相合傘の春雨雛に、小波を軽く袖で漕ぐような、浅妻船(あさづまぶね)の調べ...
豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第4話

そして驚かれたことには、京の大臣の屋敷から悪者に盗まれたあの立派な馬が取り押さえられており、さらに噂の高かった鞍馬の夜叉王までもが捕らえられていたのです。それについて長彦から詳しい話を聞き、坂の上の朝臣がどれほど満足されたかは、言うまでもあ...
豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第3話

そして、男をじっと見据えました。今度は男が、茶碗に酒を注ぎ返して一口で飲み干すと、またチラリと丸彦を睨み返しました。丸彦はもう一度茶碗を手に取ると、酒を注いで一口で飲み干し、それから男をじっと見つめました。男もまた、茶碗に酒を注いで一口で飲...
豊島 与志雄

初級翻訳・長彦と丸彦 第2話

ガチリと、何か鍬の先にあたった感触がありました。それからまた、ガチリ、ガチリと音がして、鍬が少しも通りません。丸彦はそのあたりを掘り広げました。よく見ると、そこには大きな石のふたがありました。やっとの思いでその石のふたを取り除くと、下は石の...
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