山本 周五郎

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亡霊ホテル

初級翻訳・亡霊ホテル 第3話

――どのくらい眠っただろうか、ふと耳元で、「――起き給え、伊藤……」 とささやく声にはっと目を覚ますと、鹿谷博士が暗闇の中に立っていて、「音をさせぬように起きるんだ。支度ができたらこれを持って……」「――あ、拳銃ですね」「しっ、黙ってついて...
亡霊ホテル

初級翻訳・亡霊ホテル 第2話

手前の部屋には、仕事用の大きな机と椅子がいくつか置いてあります――その机の側に立って、こちらに背中を向けて、一人の男の人がなにかをしていました。――お兄ちゃんだわ!まちがいなくお兄ちゃんだと信じきっていたみどりは、いきなりうしろから駆け寄っ...
亡霊ホテル

初級翻訳・亡霊ホテル 第1話

悲劇の部屋 伊藤豊治(いとうとよじ)というお兄さんが、顔を洗って着替えをしているところに、制服を着たホテルのお手伝いさんが朝のコーヒーを運んできました。「おはようございます」「ああ、おはよう」「ぐっすり眠れましたか?」 豊治さんはネクタイを...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第10話

向こうの小屋へあの男を運んでやれ」久之助は懐から財布を取り出して賢七に渡した。「……これを渡し守にやって、一刻も早く医者に手当をさせるんだ。今日のことは絶対に他言してはならないぞ」そして久之助は、明るい月光の中を、静かに城下のほうへと去って...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第9話

そして、そんなことを言わせる原因を作ったのは、試合に負けたお前なのだ!」「それは違います、本当に違うのです! 彼はうちの藩に家臣として雇われることを期待していたのですが、それがダメになったので、その不満からそんな悪口を叩いているだけなのです...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第8話

そこには、賢七が言っていた「死に装束」と、毎日の登城(お城への出仕)に使う服が入っていました。それを一枚ずつ取り出していくと、おそらく着物の袖(そで)のあたりにでも押し込んであったのでしょう、またもや飴玉が十個ほどゴロゴロと転がり出てきまし...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第7話

余にはどうにも本当のこととは思えんのだが、実際のところはどうなのだ」「お言葉どおりでございます」「わざと譲ってやったのか?」忠辰はカッと目をいかりさせました。「……あの思い上がった態度が憎たらしいからこそ、お前が出ていけと申し付けたのだ。そ...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第6話

気の早い田口求馬が、まるで五重塔のてっぺんから飛び降りるような、決死の覚悟を決めたような悲壮な目をしながら、「よし、それならまず拙者のから披露しよう」 そう言って、あらかじめ用意してあったらしい許し書きをスッと取り出し、厳かにみんなの前に広...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第5話

必ず相手を倒さなければならないし、自分自身の死も免れない覚悟が必要だ。つまり、日々の稽古の目的はそこにある。一生に一度、刀を抜いたなら必ず敵を討ち取る――それこそが剣術の極意なのだと、心得てほしい」そう言って、久之助はただひたすら「一撃の重...
ゆだん大敵

初級翻訳・ゆだん大敵 第4話

そして否も応もなくそこで師範の役に就いたが、かれは門人を五人と限ってお受けをした――五人とは少な過ぎるではないか、忠辰がそういうと、「しんじつ道を伝えるためには、一時に多くをお預り申しても致し方がありません」 久之助はそう答えた。「……また...
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