山本 周五郎

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山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第27話

その女主人というのは、ちょっと息をのむような美人で、そのうえ、普段の暮らしぶりや召使たちに対する態度が、まるで大名のお姫さまにも負けないほどの威厳と気高さだそうだよ」「そんなことまで調べていたとしたら、あのときお酌に出てきた女中の一人は……...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第26話

徳川幕府の権威がだんだんと揺るぎないものになり、これから先ほぼ百年は平和が続くだろうという見通しが立ったのと同時に、自分の主君を持たない武士たちや、お家取り潰し(改易)によって浪人となった人々が、新しく仕官したり出世したりするチャンスがどん...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第25話

「この家の板前をしている、清太郎という人なんです。ご存じないでしょうけれど」「うん、知らない。しかし、それはいい縁じゃないか。同じ家にいたのなら、お互いに気心が知れているだろうし」「ええ、とっても優しくていい人なんです」言いかけてから、あら...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第24話

そう訊いてやりたかった。 半之助の役替えには、村田平四郎の勧誘があった。 それは、青山主馬と築地の「丸茂」へ行ったことから始まっている。 村田も青山も、幕府の偉い人たち(はっきりとはわからないが、その中心人物は若年寄の久世大和守という人らし...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第23話

昌雲寺で法事があったとき、千之助と冲左衛門が知り合ったことは千之助の口から聞いていたが、彼がどうして谷町に出入りするようになり、いつの間にそんなに親しくなったのか、半之助にはまったく想像もつかなかった。もちろん、今の半之助にとっては自分には...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第22話

「ここはどこ? この橋の名前はなんというの?」駕籠の中から、すぐ脇に付いている和助へと、次から次へとしつこく質問を浴びせかけた。槍持ちの供を連れて馬に乗った侍などが通りかかると、あれはどれくらいの身分なのだろうか、幕府の直参だろうかそれとも...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第21話

――わたくたちの猿楽は、一年に一度、四月十一日の夜に神前で舞うほかには、決して舞ってはならないはずです。花世はかたくなに首を振りました。それは事実、その通りでした。その日は恵林寺の機山公(武田信玄)の命日にあたり、亡くなった霊をなぐさめるた...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第20話

「舟を止めてって言ったのに」こう言いながら、ものすごく上手に、舟の上へと上がってきた。「水の中からは舟の影がはっきり見えるから、動いてきたりしたらすぐに逃げちゃうじゃないの」「乙女さま、これを」若者は浴衣を取ると、すぐに少女の体を包もうとし...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第19話

「柳沢侯は数寄のお方で、お眼にとまる者は必ずお部屋にお入れなされ、やがて将軍家の伽におすすめなさる、ということではございませんか」「そうなればなお、強い大きなてづるが掴めるでしょう」「貴女は狂っておいでなさる、われらにとって徳川はもと敵では...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第18話

「まさか、比女さまがさようなことを」「いいではないか、何百年の昔のことを、少しばかり書き替えたところで、誰に迷惑を及ぼわけではなし、系図の偽作は、このごろの流行といってもいいくらいです」「それでは柳沢侯を……」「わかったでしょう、登世が江戸...
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