豊島 与志雄

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彗星の話

初級翻訳・彗星の話 第2話

ケメトスは塔の頂上に登り、空の星に向かって長い間、祈りを捧げました。お祖父さんから聞かされていた運命のことが、今はっきりとわかるような気がしました。やがて彼は右手に松明を持って、塔の頂上に姿を現しました。それを見て四方から、雷のような拍手と...
彗星の話

初級翻訳・彗星の話 第1話

一むかし、ギリシャののどかな田舎に、ケメトスという少年が住んでいました。小さい頃に両親を亡くした彼は、お祖父さんに育てられていましたが、かなりの暴れん坊でした。近所の子供たちと喧嘩をしては泣かせ、他人の果樹園に忍び込んではリンゴやイチジクを...
強い賢い王様の話

初級翻訳・強い賢い王様の話 第2話

雲よりもずっと高い山だったのです。それでもなお、向こうにはさらに高い山が突き立っていました。「あの山へ行こう!」と王子は言いました。王子はただ高いところへ上がっていくこと以外、何も考えていませんでした。この老人に負けてたまるか、どんなに高い...
強い賢い王様の話

初級翻訳・強い賢い王様の話 第1話

昔、インドのある国に、一人の王子がいました。国王からはたいそう大事に育てられ、国民からも慕われていて、「将来はきっと素晴らしい王様になるだろう」と、みんなから期待を寄せられていました。ところが、この王子には困った癖がありました。それは、とに...
山の別荘の少年

初級翻訳・山の別荘の少年 第5話

もう暖炉の火は細くなっていました。 私は新しくまきをくべました。 そしてふとわきを見ると、正夫はひじ掛け椅子の上で、うとうとと眠っていました。 しーんとした静けさの中で、雪の降る音だけがかすかに聞こえています……。 一体、今まで私に話しかけ...
山の別荘の少年

初級翻訳・山の別荘の少年 第4話

「あ、そうだ!」 あの柿のことがはっと頭にうかび、私は思わず駆けだそうとしました。 その私の肩を、誰かがぐっとつかんでゆすぶりました……。 見ると、正夫が私をゆすぶっていたのです。「本をよんでくださらないから、ぼく、うとうと眠っちゃったんで...
山の別荘の少年

初級翻訳・山の別荘の少年 第3話

「いたよ、いたよ」 淵のなかと、西の空と、両方をむいてです。西にかたむいた太陽が雲にかくれようとしていて、そのきれぎれの雲の一つが、なまずの形になって、金色の髭をはやしていますし、それがそのまま、淵の水のなかにもうつっています。それを、私た...
山の別荘の少年

初級翻訳・山の別荘の少年 第2話

村人たちはもう枯れた木にロープをくくりつけ、その根元をノコギリでギコギコとひいたり、オノでドンドンと切ったりして、木をうちたおそうとしています。こーん、こーん……というオノの音が、ぼくの胸の奥にしみ通ってくるようでした……。はっと目をさます...
山の別荘の少年

初級翻訳・山の別荘の少年 第1話

ぼくは昔、一年間だけ、ある山奥の別荘で暮らしたことがあります。それは、半分が洋風の立派な建物でした。そこにいたのは、管理人をしている五十歳くらいの夫婦と、そのおいっこである正夫(まさお)という少年だけでした。ぼくは正夫とすぐに仲良くなって、...
太一の靴は世界一

初級翻訳・太一の靴は世界一 第2話

それはめでたいことじゃないか!」 倉庫の管理人の人は、楽しそうにからからと笑いました。 そして、倉庫の隅っこを貸してあげようと言って、その戸をガラリと開けてくれました。 倉庫の中には、工場のいろいろな古い道具が入っていました。その脇に、太一...
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