久生 十蘭

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久生 十蘭

初級翻訳・新西遊記 第1話

京都の宇治にある黄檗山(おうばくさん)というお寺に、山口智海(やまぐち ちかい)という二十六歳の若いお坊さんがいました。彼はあるとき、「チベットへ行って、チベット語に訳された仏教の大事な本(一切経)を持ち帰ってこよう!」と決心しました。そし...
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初級翻訳・地底獣国 第16話

見ると、それは石炭紀の貴重な「プレウロトマリア」でした。生きている長者貝! これに博士は夢中になりました。狂ったように西側の断崖へと駆けて行きましたが、それっきり戻ってくることはありませんでした。海鳥の卵と古鱈ばかりの食生活が、私たちの壊血...
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初級翻訳・地底獣国 第15話

代赭色(たいしゃいろ)の大きな口をガバッと開け、七インチ(約十八センチ)ほどもある、見るも恐ろしい剣のような歯をむき出し、一跳びで三間(約五メートル)ほどずつ跳ねながら、地響きを立てて二人の後ろに追い迫っているのです!博士と四人の漁夫は、ひ...
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初級翻訳・地底獣国 第14話

揉み合いが落ち着くと、教授は片手で舟の縁を掴みながら、素早く後退りして船尾の方へ登り、隙なく拳銃を膝の上に構えました。ナターシャは安全灯の光を五人に向け、こちらも油断なく監視を続けています。三十分。永遠とも思えるほど長い三十分が過ぎましたが...
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初級翻訳・地底獣国 第13話

いつものように非情で冷酷な眼つきをしているが、見るからに憐れを催すほどひどくやつれ果て、シャツもズボンもズタズタに裂け、いたるところにべっとりと血の跡がついていた。ナターシャのほうは、もっとひどい有様だった。外套の襟元は無残に引き裂かれ、む...
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初級翻訳・地底獣国 第12話

それは古生代三畳紀のレーチック植物の一種で、当時、羊歯(シダ)や木賊(トクサ)などとともに地球の表面をおおっていた「ニルソニア」という種類のソテツです。博士の手のひらは、今、まさに一千万年前の植物の肌に触れているのです!「……息が詰まる!」...
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初級翻訳・地底獣国 第11話

朱色、白、赤茶色、紫黒色と、さまざまな色の溶岩が重なり合い、瑪瑙(メノウ)のような美しい縞模様を見せています。その底を、重油の流れのような黒い川が、のたりと動いていました。安全灯の光の当たり具合で、その川は紫がかった紺青になったり、深い藍色...
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初級翻訳・地底獣国 第10話

一キロほど進むと、行く手に、なんともいえないぼんやりとした微光が漂っているのに気づきました。月光のような蒼白さではなく、霧のような乳白色でもありません。たとえば、緑柱石(エメラルドの仲間)の輝きを薄い布越しに眺めたような、淡く、淡い海緑色。...
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初級翻訳・地底獣国 第9話

この計画は、企画・軍部・建設・地理・交通の各技術委員を網羅した「全同盟科学研究計画会」の秘密会議において、細部にわたって厳密に話し合われ、前代未聞の作戦計画として決定されました。この恐ろしい攻略路が完成したあかつきには、ソ連邦は日本帝国に対...
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初級翻訳・地底獣国 第8話

「しばらく休憩しよう」博士は測量機器を取り出すと、手早く自分たちが今いる場所の観測を始めました。六人の漁師たちは背負っていた荷物を下ろすと、代わる代わる水を飲み、水筒をいっぱいにし、それから側壁にもたれかかって座りました。誰一人として、くつ...
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